県庁移転を真剣に考えよう。

キングの塔(神奈川県庁本庁舎)の写真

(神奈川県庁 神奈川県HPより)

試験の採点がようやく終了しました。地域政治論は174人の答案と向き合いました。神奈川大学へ早速答案用紙も含めて全部送り返しました。宿題をやり終えた感じです。

三つの課題を考えてもらいました。一つ目は大都市問題です。人口370万人の横浜をはじめ三つも神奈川県並みの権限を持つ政令指定都市が存在します。県の人口の3分の2です。

急速な高齢化への備えが待ったなしです。効率的に対応しなくてはなりません。県と同じことをばらばらにやっている財政的余裕はありません。

県の権限を政令指定都市に移して効率化した方が良いという意見があります。横浜市は特別自治市構想を提唱し県と全く同等の権限と財源を有する都市になろうとしています。

二重行政を排する方策として有効です。しかし、最大の大都市が県の枠組みから抜けることによって県の財源不足が生じ水源地域が存続の危機に直面する恐れがあります。

大都市部の効率性を重視すれば中山間地が存続の危機に直結し逆に中山間地の保全を重視しようとすると大都市部の都市経営が破たんの危機に瀕すると言えます。

私は、特別自治市構想を断行し神奈川県全体として効率的な経営に乗り出す必要があると思います。財源の余裕を生み出し水源地の保全へとつなげます。

二つ目は基地問題です。神奈川県は、全国3位の在日アメリカ軍基地を有する基地県です。しかし、沖縄とは違い県土の1パーセント未満ですので県全体の関心は低いです。

基地は、各地域において都市計画の障害になったり地域の雇用と密接不可分であったりします。もちろん耐えがたい騒音被害、環境汚染問題があります。

神奈川県の未来図を描こうとした場合基地とどう向き合うかも難問中の難問です。すぐには無くせないし逆に一気に無くなると雇用問題になってきます。

騒音や環境汚染には厳しく対処し続けその一方で災害協力など協力できる分野は協力するという両面作戦を取りつつ整理縮小を粘り強く追い求めるしかありません。

最後に県西部地域の課題があります。神奈川県で最も人口減少が進んでいる地域です。世界の箱根や歴史と文化の小田原、豊かな自然環境の山北など豊富な地域資源があります。

それなのに人口が減り活力の低下が叫ばれています。地域間の連携が明らかに不足しています。地域の危機に共同で対処する一体感がありません。

中心都市の小田原は明治維新の廃藩置県で県庁所在地でなくなり求心力を大きく低下させました。いわばへそが無くなってしまったのが県西地域のまとまりのなさの遠因です。

連携を強化してやり直すには災害対応でまとまるのが一番です。富士山噴火対策をテーマにして国家に全面に出てもらい地域の連携を再構築する必要があります。

地域政治論の三つの難問を解決する妙案があります。県庁移転です。県庁移転を起爆剤にして神奈川県の経済バランスを修正することが出来ます。

県全体の防災力の強化につなげることが可能です。基地問題についても国やアメリカ軍への交渉能力を向上させることが出来ます。一挙三得の案です。真剣に考える時代です。