本物女子の時代がやって来る。

大学で教える最高の楽しみは、想定外の答案と出会うことです。どんなに高度に整理されていても予想の範囲内の答案ですと印象度としては劣ります。

前期試験では2人の女子学生の答案が強い印象を残しました。一人は日本大学危機管理学部の1年生、もう一人は神奈川大学法学部の3年生です。

日大の女子学生の答案は私の想定をはるかに超えてました。内容もしっかり整理されてました。テーマは、開成町のまちづくりを踏まえた理想の首長についてでした。

私は講義で政治家である首長にとって最も大切な資質は私利私欲のない高度な倫理観、道徳観であると述べました。西郷隆盛の政治姿勢を理想例として挙げました。

この私の評価に対しこの女子学生は人間である以上私利私欲を消せないので私利私欲を制御できるかどうかを問題として設定すべきだと注文を付けました。

また私は講義の中で住民に対するしなやかな指導力について解説しました。首長は、住民より半歩前に出て今取り組むべき課題について問題提起することが大切です。

住民の自主的な活動を促し順調に軌道に乗るようになったならば側面支援に回り縁の下の力持ち的存在となると言った指導力の発揮こそが理想だと述べました。

こうした私の講義についてこの女子学生はドイツのメルケル首相のリーダシップを題材に自らの見解を論じました。論の組み立てが一年生とは思えませんでした。

メルケル首相が独裁体制の旧東ドイツ出身で幾多の困難を強いられた体験から中東からの難民受け入れに積極的なことに女子学生は着目しました。

メルケル首相の信念がいかに正しいものであっても国民全体として許容できるものでなければ反発が生じてしまい政治は安定しないことを訴えたのです。

善なる思いが必ずしも良い結果をもたらしません。指導者の思いが行き過ぎて空回りしてし混乱をもたらすことを警告してました。骨太の論理展開に目を見張りました。

神大の学生の答案のうちでも最も印象に残ったのは日大の女子学生のように突き抜けた論考ではありませんでした。しかし、荒削りでたくましさを感じました。

開成町のあじさい祭りを実際に観察に行きを論文に仕立て上げてました。まさにリポートでした。私が講義で述べたことが本当かどうか確かめに行ったのです。

整然と整えられた水田のあぜ道に一斉にあじさいが咲き誇っている姿を目にしてハード事業の意義を知り、祭りというソフト事業を組み合わせて町を発信する様子を伝えてました。

駐車場の車のナンバープレートをチェックして様々な地域から観光客が訪れていることを知り発信力が拡大していることを評価していました。

インターネットで間接的に現場を知るだけでなく実際に確かめに行く根性に拍手を送りたいです。文章の整理の仕方を学べばジャーナリストになれると思いました。

結論から言いますと、これから、本格的に女子の時代が始まるように思います。実力派の女子が次々と育っているように思います。男子は覚悟しておいた方が良さそうです。