新型コロナウィルス対応の政治学83~試練の河野大臣~
今日から大阪府など6府県の緊急事態宣言が解除されます。首都圏の1都3県は継続中です。
首都圏は感染者数の減少傾向が鈍化してます。7日までの期間内で解除できるかどうか微妙です。
新型コロナを押さえこむ希望の星はワクチンでその期待はますます高まってくると思います。
1月に緊急事態宣言が発出されたあと菅総理は河野行革大臣をワクチン担当に指名しました。
新型コロナ対策の遅れから政権に逆風が吹いている中で起死回生を託したのだと思います。
私はこの人事には危険性が伴うと思いました。ワクチン担当大臣の使命と河野大臣のキャラが合わないからです。
ワクチン担当大臣は国民に対し派手なパフォーマンスをすることが仕事ではありません。
実情を誠実に丁寧に説明し国民に協力を求めることができる資質を持っていることが条件です。
河野大臣の爆発的な発信力は攻めている時は強力な破壊力を持ち政権として有用でしょう。
しかし、ワクチン担当大臣の役割は攻撃ではなくどちらかと言えば防御に近い役割を帯びています。
ワクチンが日本で生産され必要な分量を確保できる見通しがない限り常に不安定な状態にさらされます。
確たる見通しが立たない中で下手にアドバルーンを上げることは非常なリスクを伴います。
大ぶろしきを広げてしまって後で慌てて修正となると不信感を助長してしまうことは言うまでもありません。
河野大臣のワクチンをめぐる発言はすでに何度か修正を余儀なくされてます。常にマイナスの修正です。
4月初めからとされていた高齢者の接種時期は徐々に後ろに後退し現状では確実なスケジュールは立ってません。
自前のワクチンがなく世界中でワクチンの争奪戦になっているのですから見通しが立たないのは当たり前です。
ワクチン担当大臣は確保できることばかりを発信するのではなく確保できない状況を丁寧に説明することが不可欠です。
無い袖は振れません。希望的な観測に基づく発信は危険です。言動が派手な河野大臣は細心の注意が必要です。
ワクチン確保を取り巻く現状についてもっと丁寧な説明が必要なのではないでしょうか。
マスコミ業界でよく使われるバックグラウンドブリーフィングを行うべきです。背景説明です。
また、ワクチンに対する関心が高まっている現在はワクチンに対する国民の理解を深めるチャンスでもあります。
確保の見通しだけでなくワクチンの効用も併せて発信することが大切だと思うのですが現状はそうなってません。
確保や接種の見通しは河野大臣が行い、副反応も含めてワクチンの効用については厚労省の任務です。
田村厚労大臣は国会での質疑でわかる通り河野大臣のタイプとは異なります。丁寧な説明が持ち味です。
今回のワクチン対応は攻めではなく防御と述べました。その担当者として適任は、田村大臣タイプの方です。
となると河野大臣の取るべき態度は政治家として幅を広げる試練だと心得て発信スタイルを改めることだと思います。