中田翔選手の獲得は正解か

日ハムで暴力事件を起こし出場停止処分を受けていた中田翔選手が8月巨人に電撃トレードされました。

移籍早々にホームランを放った後は鳴かず飛ばずで2軍に降格。1軍復帰後ホームランを打ちましたが今いち…。

長嶋終身名誉監督が獲得後すぐ不自由な身体で中田選手を激励しているシーンがテレビに出ていました。

私は巨人の無敵の全盛時代に少年時代を送りました。4番サード長嶋の大ファンでした。

いささか派手なパフォーマンスといざという時に打ってくれるので打席に入るたびにワクワクしました。

長嶋は選手としての成績はずば抜けていません。でもプレーが脳裏に焼き付く印象に残る選手でした。

監督としてはいただけませんでした。川上哲治監督から引き継いだ1年目は最下位でした。

選手と監督とは持つべき能力の何かが違うのです。優秀な選手必ずしも優秀な監督ではない象徴的な人物です。

長嶋監督の前の川上時代は日本一連続9年というV9の今なお破られていない偉業を残しました。

川上監督も選手時代は超一流の打者でした。球が止まって見えるは今も残る名言です。

監督として直ちに不敗神話を生み出したのではありません。優勝と優勝を逃すシーズンを繰り返しました。

常勝軍団にしたのは有能なひとりのコーチを招いてからです。中日出身の牧野茂コーチです。

解説者の牧野さんが川上采配についての厳しい論評をスポーツ紙に掲載しました。それが川上さんの眼にとまりました。

川上さんは批判した牧野さんをコーチに招へいしアメリカメジャーのドジャース戦法を徹底的に導入したのです。

厳しくチームプレーを要請するのが基本でした。強打者であってもバントする時はバントでした。

内外野の中間にふらりと上がった打球は外野手が前進して捕球するのが鉄則でした。

ルールを破った時は罰金です。ひどい時は直ちに2軍行きです。”哲”の規律と言って良いです。

相手チームの情報を徹底して収拾しミーティングで選手たちに対処法を叩き込み役割が牧野コーチでした。

このマネジメントでV9を達成しました。常勝巨人には勝利とともにもうひとつ行動原理がありました。

「球界の紳士たれ」というものです。巨人の選手は、社会人としても一流であれと戒めたのです。

川上時代のマネジメントを一変させたのがミスター巨人、長嶋監督でした。以来常勝時代は再来してません。

暴力行為を行った選手を獲得するのは川上時代ではあり得なかったはずです。暴力と紳士は相容れません。

長嶋さんは笑顔で迎えました。中田選手獲得は、吉か凶か、残り公式戦日程はひと月です。

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