ウクライナ危機と旧満州国
緊迫のウクライナ情勢、親ロシア勢力が支配する東部地域の独立をロシアのプーチン大統領が承認しました。
独立国の要請に基づいてロシア軍は平和維持を名目に軍を派遣することになりました。
ドネツク、ルガンスクというロシアによる2つのかいらい国家が出現することになりました。
軍事力の行使を厭わない姿勢のロシアの方が強いと見ていた通りの展開が進行しています。
かいらい国と言えば90年前に成立した旧満州国を思い出します。満鉄爆破事件を端緒に日本軍は満州を占領しました。
1931年9月18日のことです。翌年の3月1日に満州国は建国を宣言し日本が直ちに承認しました。
国際連盟加盟各国を当然反発し満州国を認めません。調査団を送り中国の主権のもとに自治政府の樹立を提言しました。
1933年2月に日本は国際連盟を脱退し孤立の道を歩む日中戦争から太平洋戦争へと歩むことになりました。
現在進行中のウクライナ危機と似通っている点が多いのに驚きます。異なるのはロシアの方が強力で狡猾です。
ロシアは満州駐留の関東軍のように直接手を下してません。ウクライナ東部の親ロシア勢力が主体です。
ウクライナの領土を削り取るようにしてじわじわと侵食する作戦に出ています。
ロシアが強気な背景には西側諸国の足並みの脆弱さを見抜いているからだと思います。
経済制裁は制裁国も返り血を浴びます。エネルギー輸出国のロシアは強みを持っているといえます。
国内の経済の苦境から脱するために中国大陸に理想国の建国を求めた戦前の日本とは立場が違い過ぎます。
日本のように戦争の泥沼にはまり崩壊の道を歩むとは考えられません。しぶとく生き抜くと思います。
ロシアとしてはウクライナ東部の親ロシア支配地域をかいらい国にできたことで最低限の目標達成です。
ロシアは、クリミア半島に続いて力に基づく現状変更に成功したことになります。
ウクライナが猛反発してもバイデン大統領は武力行使に及び腰ですので迫力はありません。
ウクライナが武力行使に踏み切ればロシアによるウクライナ侵攻の口実を与えることになります。
ロシアの強力な地上部隊が首都キエフに迫る悪夢のシナリオが現実味を帯びます。
ウクライナとしては現状変更を事実上容認し内部を固める以外には手がないと思います。
ただロシアが力による現状変更に踏み切ったためウクライナはNATO加盟の大義名分を得ました。
ロシアにとっては痛手です。ウクライナが完全に西側の一員となる可能性が出てきたからです。
この状況の変化をアメリカがどう捉え反転攻勢に出るかです。今度はアメリカの力が試されます。