『空海の風景』

今年は真言密教を極め日本に伝えた空海の生誕1250年です。
国民的作家、司馬遼太郎さんの代表作に『空海の風景』があります。
今年は司馬さんの生誕100年でもあります。

NHKEテレの「心の時代」で3日と10日の2回特集番組を放送してました。
2002年放送のNHKスペシャルの「空海の風景」を基に番組を再構成してました。
前編は遣唐使として中国に渡るまで後編は中国での修行と帰国後の行動です。

視聴後の感想は破格の大天才空海への畏敬です。
宗教界の大谷翔平選手、いやそれ以上の存在です。
どこで学んだのか中国語の達人でその文書の卓越さは本場の文人をうならせました。
書も超絶の腕前でした。
そのうえ真言密教の神髄を伝授されたのですから言葉になりません。
イタリア・ルネサンス期の大天才レオナルド・ダ・ビンチをしのぐと思います。

帰国後はため池などの土木工事を通じて民衆の生活向上にも努めました。
全国に空海の足跡が伝承も含めて残されてます。
神秘の世界に通じる哲人であるとともに民を救済する実践者でもあったのです。
宇宙人か超能力者だったのではないかと思えるほどの活躍です。

番組の後編に日本を代表する宗教学者の山折哲雄さんが出演してました。
空海の真言密教と「自利・利他」について語っているのが印象に残りました。
「自利・利他」は文字通りに捉えれば自分の利益と他人の利益です。
自分にも他人にも得になると捉えがちですが本来の意味は違うというのです。
いわゆるウィン・ウィンと理解してしまうことを戒めてました。
本当の「自利・利他」は、得かどうかなどと考えているレベルを超越しているというのです。

空海の献身的な生きざまを貫いて流れている精神性を垣間見たように思いました。
空海の人生は世のため人のためと考えている次元を超えて自ずと行動した結果なのです。

意識せずに自然体で世のため人のために生きれるなんて…。
これぞ超人技以外の何物でもありません。