静かすぎる安保論議

自民党の勉強会で好ましくない報道をするマスコミをスポンサーサイドから絞り上げろという趣旨の発言が飛び出しました。

憲法で保障されている言論の自由を侵しかねない発言が国権の最高機関に議席を有する代議士たちの口から飛び出したことになります。

勉強会の名称は格式が高い名前が付いています。「文化芸術懇話会」です。しかし、発言の中身は品格とは無縁です。

本音があからさまに出たのだと思います。発言の影響とか憲法との絡みとかそんな次元の話しは念頭になかったのだと推測します。

発言の内容からして威勢が良いだけでは済まされません。良識以前の常識が発言者に不足しているように思います。

問題発言の3人は2人が地方議員出身で1人はサラリーマン出身でした。たたき上げで国会議員のバッジを付けたように見えます。

私は3人の国会議員をただ単に攻める気はありません。ここまでよくぞ言ったものだというある種の納得感みたいなものがあります。

えげつない発言をするだけの戦いの場面をくぐり抜けてきたことが伺われるからです。世襲議員やエリート官僚とは違います。

むろん発言の中身は釈明の余地はありません。しかし、暴論で荒々しく攻める国会議員がいることは自民党の強さの一側面です。

自民党執行部は火消しに躍起になっていますがこうした発言をしてのける人材が居ることは、政党の強みでもあります。

問題は、一定の方向でしか荒々しさが発揮できていない点にあります。総理の考えている方向で荒々しいだけでは媚を売っているのと同じです。

仮に総理の意見と異なってでも反論で正々堂々と荒々しく議論を仕掛ける議員がいないところが現在の自民党の真の問題です。

いわゆるハト派といわれる存在は絶滅してしまったのでしょうか。村上誠一郎さんのような方もいますが孤立しています。

本来ならばハトが荒れ狂っても良い状況です。これまで積み重ねてきた保守の論理を一気に変転させてしまう議論が進行中なのに不思議です。

暴論を吐いた国会議員が出たことをきっかけに自民党内にハトが居るのならば目覚めて鳴き声を聞かせて欲しいです。

対抗する野党の攻め方もテレビ画面で見る限り大人しいです。暴論を吐いた自民党議員に負けないぐらいの暴論を吐く人材はいないのでしょうか。

民主党には素晴らしいキャリアを有する国会議員が大勢いられます。絵にかいたようなほれぼれとする経歴が書かれています。

しかし戦わなければキャリアは単なる紙切れと同じです。自民党の暴言議員に負けない迫力で議論を戦わせて欲しいです。

徹底抗戦をする気概があるのならば暴論には暴論で戦いを挑むのが本来です。野党がスマート過ぎるのが気になって仕方ありません。

現在の安保論議は戦後70年の政策の基本を転換するか否かの二者択一です。真ん中はありません。本気の国会議員なら荒れるのが当然です。

通そうとする側も阻止しようとする側も互いに譲らず激突するのが常識だと思います。乱闘騒ぎが起きてもおかしくありません。