新春に想う。7

北朝鮮の核実験に対して非難の嵐です。ただし北朝鮮本国では偉大な行動だと絶賛の報道です。世界の中には北朝鮮の行動に興味津々の独裁者もいるかもしれません。

北朝鮮は北朝鮮なりの理屈があります。北朝鮮の体制を維持するためには核開発は最強の手段であるということです。核を言い出すことで交渉の場に引っ張り出せます。

こうした考え方を許す最大の要因はアメリカ、中国、ロシアなどの核兵器は許されてなぜ北朝鮮は開発が許されないのかという根本矛盾だと思います。

核の国際秩序の基本はアメリカなどの核大国が核をめぐる安全保障政策の全てを仕切り拡散を許さないことで核大国の優位性と安全を維持するというものです。

日本のようにアメリカの戦略に従順な国ばかりではありません。この国際秩序に挑戦を挑む国が現れても不思議ではありません。インド、パキスタンは実際に兵器を持ちました。

イスラエルも保有国だと見なされています。アメリカはイスラエルの核については黙認でダブルスタンダードだと言われます。核大国もそれぞれの都合で態度を変えます。

南アフリカのように一度は秘密裏に核兵器を保有し1993年に冷戦の終結とともに廃棄を公表した国もあります。いかに開発したかなぜ廃棄か真相は謎です。

アメリカがイラクへの戦争を仕掛けた理由もフセイン体制が大量破壊兵器を持っているということでした。これは後にでっち上げであることが判明しました。

核を取り巻く国際政治は、表向きはアメリカを中心とする核大国が管理しているように見えて実態は権謀術数渦巻く闇の世界のように見えます。

日本は核については、世界で唯一の被爆国であることから非核三原則を有しています。作らず、持たず、持ち込ませずです。核廃絶も掲げています。

しかし、日本も核という闇の世界と無縁ではなく根本矛盾を抱えています。アメリカと同盟関係を結びアメリカの核の傘に守られているという事実です。

日本が核の廃絶を訴える時の弱点です。日本が被爆国である立場を背景に核兵器の廃絶を主張しても身勝手なきれいごとだと受け止めれる要因です。

核大国もそれぞれの思惑で矛盾を抱え日本もアメリカとの関係で矛盾を抱えていることになります。北朝鮮の核問題への対処を考える際留意しなければならないと思います。

本気で北朝鮮の核の廃棄を目指すのであれば朝鮮半島を非核地帯とするだけの条件を生み出す力とならなくてはなりません。非難するだけでは足りません。

アメリカの従属国的立場に甘んじていれば日本国内でいくら北朝鮮はけしからんと叫んでも日本が核廃棄への力とはなりません。国内向けの演技に近いです。

日本が北朝鮮の核廃棄に向けて真に力を発揮するためには核については唯一の被爆国の立場から核廃絶を国是としてイの一番に掲げることから始める必要があります。

核兵器の非人道性を明確にしアメリカなどの核大国も含めあらゆる核兵器の廃絶を求めて行く立場を明確に打ち出すことで日本が独自の外交力を持つ方向を探るべきです。

北朝鮮の核開発問題は実は日本の核問題に対する基本的立場を問い返していると思います。北朝鮮の狂気を叩くと同時に日本の核問題のあり方も問い直す必要があります。

 

 

 

 

 

 

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