作家辺見庸さんの警告。

2016-04-30 15-06-17

5月3日の憲法記念日を前に30日小田原市で作家辺見庸さんの講演会が開かれました。会場は500人ほどの聴衆で満席でした。憲法への関心が高まっています。

主催は小田原の税理士事務所の第一マネジメントセンターです。1969年以来憲法と人権をテーマに著名な講師を招き講演会を通じて問題提起を続けています。

今年で48回目です。1973年に『素足の人権』という学習会の報告集でなぜ憲法と人権かを問うています。その問題関心をずっと堅持されてきたことに敬意を表します。

これまで違憲だとされてきた集団的自衛権の行使を条件付きで認める安保法の改正論議をめぐって国会で論戦が戦わされました。法の成立施行後も熱は冷めていません。

48回目の講演会の講師は、元ジャーナリスト、芥川賞作家の辺見庸さんです。安倍政権の安保法制をめぐる対応に鋭く批判の言説を展開されています。

2016-04-30 15-05-58

午後2時に始まった辺見さんの講演は予定を1時間オーバーし午後5時まで続きました。辺見さんは脳出血で倒れた後遺症で身体が不自由であるにもかかわらずです。

憲法をめぐる異様な現状をこのままにしていてはならないという辺見さんの執念のような覚悟を感じました。「血を流さないといけない。」と警告されていました。

武器を取れとか極端なことを述べているのではありません。一人一人の国民の覚悟を持たなければならない状況にあるということを激しい言葉を使って強調してました。

主権者の国民が為政者に任せて傍観し、結果として悲惨な戦争に陥ったにもかかわらず誰一人としても責任を取らなかった歴史を痛切に反省すべきだということです。

愚かな過ちを繰り返してはならないという問題提起でした。憲法の根幹である9条は果たしてまだ生きているのかそれとも死んでしまっているのかと投げかけていました。

武器を持たないと宣言している国が武器輸出をすることをどうとらえれば良いのか、平和憲法を守れと唱えるだけの後ろめたさを直視すべきだと訴えていました。

平和憲法を守る必要があると考える者は「血を流す」覚悟を持って行動を起こす時期に来たという時代認識を持っていました。強い危機感が伝わってきました。

では一人一人の国民の覚悟をどう醸成するかが大きな課題となります。容易ではありません。政府の方針にあからさまに逆らう態度を共有するのは難しいのが理由です。

現行憲法の堅持が正しいと確信して行動できる人は少数派だと思います。現行憲法を改正すべきだと覚悟を持っている人も少数派だと思います。

多くは無関心か流れを観たいと思って立場上口をつぐんでいると思います。政府のトップが強い意志を示すと徐々に流れが傾く可能性があります。

国民が目覚め憲法という日本の国の形を決める最高法規の改正問題に自覚を持って選択することが何より大切です。大勢に従うずるさは後々大きな後悔を招きます。

平和憲法は大きなピンチにあると率直に思います。しかしピンチはチャンスという言葉はこの場合にも通用します。平和憲法を捉え直し自らのものとするチャンスです。