慌てず急いで富士山噴火への対応。

富士山赤色立体地図

(赤色立体地図 富士山火口 作成:千葉達朗氏)

先月23日、小田原市の尊徳記念館で「富士山と酒匂川流域 噴火と減災を考える会」が発足し記念講演会を開きました。131人の方が参加しました。

入会をされた方は35人で第一歩を踏み出すことが出来ました。小田原で治水の住民活動をされているスーパーヤオマサ名誉会長の田嶋享さんの会長就任が決まりました。

足柄平野を流れる酒匂川の上流部に位置する静岡県小山町の前危機監理官の新井昇さんに講演していただきました。元自衛官で実践的な話でした。

小山町の富士山防災対策と私たちの地域での取り組みとの差があまりに大きいことにがく然とし焦りを感じました。小山町では、自治会単位で周知徹底をしています。

富士山噴火に伴う噴石、溶岩流、融雪による土石流、噴火に伴う降砂と降灰による被害、降雨による土石流と洪水といった様々な局面があります。

どのような形態の噴火が発生するかを事前に予測するのは困難です。あらゆる事態を想定し出来る限り被害を小さくする減災の取り組みが何より大切です。

今月12日呼びかけ人が集まって今後の対応を協議しました、住民の関心は高く講演会を継続するとともに現地見学を実施することになりました。

7月に会の運営方針を正式決定し秋以降に対策が進んでいる小山町の実情を見学に行くとともに火山防災の専門家を招いて講演会を開催する考えです。

昨日日本大学文理学部の鵜川元雄教授を訪ねました。富士火山研究一筋に30年以上かかわっていられる研究者です。富士火山防災対策協議会の主要メンバーです。

山梨県、静岡県、神奈川県の3県が中心となり国機関も加わって富士山噴火対応の話し合いを続けています。メンバー構成を見て首を傾げる点がありました。

山梨県と静岡県は関係する市町村が加わっているのに神奈川県は市町村は参加していません。被害の程度で区切られたのだと想定されますが再検討が必要です。

酒匂川を一つの流域として捉え直さないといけません。県の境界は人間が勝手に決めたものです。自然に沿った形で関係自治体がまとまり有効な対策を取るべきです。

鵜川教授に話によりますと富士山噴火対策は少しずつではあるが着実に進んでいるということです。20年前には噴火を口に出すこと自体が憚られたと振り返ってました。

すでにハザードマップは出来ています。このマップに基づいて実践的な対策を取る時期に来ていると話されてました。そのためにも酒匂川流域単位の自治体の参加は不可欠です。

神奈川県西部地域の危機意識は明らかに低いです。しかし1707年の宝永噴火級の爆発が起きれば系滅的な打撃を受ける地域が出ます。洪水による被害も甚大です。

対策を急がなければなりません。しかし慌ててもダメですので出来るところから一歩ずつ進めるしかありません。まずは富士山噴火対応の現状をもっと住民に周知することです。

神奈川県が音頭取りして関係する自治体のトップにもっと強力に働きかけ住民の危機意識を持ってもらうことから始めることが大切です。