2016年参議院選挙1

与党とおおさか維新のいわゆる改憲勢力で参議院の議席の三分の二を占めました。民進党にも改憲賛成は多数います。改憲のための大政翼賛体制ができました。

中身の議論が次の焦点です。最低限の合意でまず改憲だけを目的とするのならば意外に早いかもしれません。安倍総理が安保など本質にこだわれば時間がかかります。

次の衆議院選挙に合わせて憲法改正の国民投票となる可能性もあります。そうなれば投票率も上がりますし政権の命運にかかわってきます。

選挙に圧倒的な強みを発揮した自民・公明の与党体制ですが限界が見えました。基地の沖縄と原発の福島で敗北を喫したのが典型的事例です。

改憲をめぐってはおおさか維新を一枚加えることになりますがおおさか維新は地域政党ですので全国的広がりは持てない致命的な限界を持っています。

次の衆議院選挙で国民投票を行い投票率が上がった場合危険性も伴います。自民・公明の選挙態勢の限界を露呈しただけに解散の判断は難しくなりました。

民進党はそれなりの善戦です。与党の半分強の32議席ですので野党の座に安住するにはほどほどの数字です。次ぎ、半分強を確保すればかつての55年体制です。

しかし民進党のほどほどの数字は矛盾が背後に潜んでいます。共産党の支援によって獲得した議席も含まれるからです。民進党の最大のアキレス腱です。

民進党内には共産党との連携に強烈な違和感を持つグループも存在します。共産党との連携の強化は相当に議論を呼びます。矛盾の克服は容易ではありません。

共産党はもっと伸びる予測でした。私は「防衛予算は人殺し予算」発言と発言した幹部の解任劇が影響を与えたと見ます。共産党の本質だと判断されたと思います。

共産党は、綱領で、自衛隊の解消を目指してますし、天皇制も是認してません。共産党幹部の発言は、ここを突かれるきっかけを与えてしまいました。

共産党は市民党の共闘を前面に掲げて有権者の疑念を払しょくしようとしました。しかしこの戦術も矛盾です。民主主義を求める市民と協調できるかです。

市民運動との連携を深めれば深めるほど共産党内での自由な行動と発言を求められることになります。共産党の体質としてハードルの高い要求です。

参議院選挙で展開された野党共闘は32ある一人区で東北を中心に11議席を獲得したので一定の成果を上げました。しかし今後の展開は予断を許しません。

政権構想がなければ本当の野党共闘とはなりません。政権構想となれば、共産党の持っている本質的な問題とどう向き合うかが表面化します。

共産党が綱領を全面的に改め自衛隊と天皇制を認め、党名を変更するぐらいの根本改革が示されないと共産党との政権構想は難しいと思います。

現実的には難しいです。結果として矛盾を抱えながら中途半端な形の野党共闘という線で落ち着いてしまえば善戦はできても政権は取れません。

共産党とは、一定の距離を置き、なおかつ、与党の一部の同調を得られる政権構想こそが政権交代を可能にします。凄腕の軍師が必要です。いなければ自民党政権は続きます。