野党共闘の行くへと市民政治運動
先の参議院選挙で与党と改憲勢力で3分の2以上を占めたことが注目されています。しかし野党共闘が一定の成果を収めたことは特記する必要があります。
全ての一人区で野党共闘が成立し東北で4勝1敗、甲信越3県で全勝するなどの成果を収めました。この他、三重や、大分で激戦を制し沖縄では圧勝しました。
与党にとっては、全国的には勝利したものの衆議院選挙に向けて気がかりな結果です。野党共闘に対して攻撃を強めて来ることは言うまでもありません。
参議院選挙で野党共闘が一定の成果を収めたからといってそのまま衆議院選挙には連動しません。大きな断絶があることを知らなければなりません。
参議院選挙は政権選択選挙ではありません。衆議院選挙は政権のありかたそのものを問う選挙です。勝利すれば権力を取ることが出来るということです。
とてつもない大きな違いです。300ある選挙区は全て1人区です。ここで共闘を組むということは政権のあり方と直結します。政権構想がなければ戦えません。
民進党と共産党は一緒に政権を担う構想が必要ということです。選挙協力をめぐる野党共闘がお付き合いとすれば、政権構想は婚約したということです。、
勝てば結婚へと進むし、負ければ婚約破棄もあり得ます。選挙に勝つだけの共闘とは大違いです。政権を組むのですから基本政策は一致させなければ袋叩きに合います。
天皇制と自衛隊が鍵です。共産党がこの2点についてこれまでの基本政策を根本的に改めて存在を明確に認めない限り政権構想にはなりません。
棚上げして時間をかけて協議するという戦術を取ったとしたらそれは逃げであって国民の納得は得られないでしょう。この点が最大のハードルです。
参議院選挙の時、「防衛予算は人殺し予算」という発言が共産党の幹部から飛び出しました。共産党が持っている本質がはっきり見えてしまいました。
本質を改めるのですから共産党にとって歴史的大転換となります。このハードルを越えるのは相当に困難です。しかし越えられなければ政権構想に参加できません。
結果的には、民進党単独で政権構想をまとめるしかないと思います。困難な作業であっても民進党は政権奪取を目指すのであれば着手しなくてはなりません。
共産党とは結婚しない、しかし、協力関係は堅持するということをはっきりさせることです。そうなれば再び野党共闘は息を吹き返します。
政権構想に共産党は参加しないで、閣外、すなわち政権の外で協力するということです。弱い形で間接的に政権へ関わるということで理解を求めるのです。
今回の参議院選挙では市民運動が野党共闘の促進剤になりました。しかし、衆議院選挙の野党共闘は市民運動が応援したからといって一足飛びには行きません。
市民運動の側も衆議院選挙は政権を奪い合う選挙であるという選挙の本質をわきまえて対応する必要があります。安易に共闘を求めても実を結びません。
次の衆議院選挙までは少し時間があります。市民運動の側は、いったん立ち止まり政権構想の根本となる憲法を始めこの国の形を学び直す時間を確保する必要があります。