小田原市と南足柄市の合併論議は、首長主導で正々堂々と。

今月8日、朝日新聞の小田原支局長から取材を受けました。今週21日から始まる小田原市と南足柄市による「県西地域の中心市のあり方に関する2市協議」についてでした。

この協議は、事実上は、両市の合併について検討する場です。しかし端的に言い切ってしまっては「最初から合併と決めているのか」との疑念を招きます。

こうした批判が起きないよう配慮していかにもお役所らしい「中心市のあり方」という名前になったのだと推測します。私は姑息だと思いました。

というのは、両市の事務当局は今年の1月に早々と両市が市町村合併によって地域の中核的都市となる方向性を打ち出した内部文書をまとめているからです。

朝日新聞の市局長からはこの内部文書に基づいてインタビューを受けました。記事は15日付の紙面に掲載されました。役人主導の議論の進行に危機感を訴えました。

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内部文書は、両市の人口の減少傾向や財政状況の悪化を打開する決め手として市町村合併を強く打ち出しています。効率化による行財政改革の効果を期待しているのです。

そして両市が新しい中核的都市となって神奈川県西部の他の市町との連携することで県西部地域をけん引して行こうという狙いが示されています。

考え方は理解できます。しかし、デメリットは示されていない机上論に過ぎません。こうした文書をまとめていながら市民には情報開示しないで両市の協議が始まります。

これは危険極まりないです。こういった時こそ政治が表に出なければなりません。小田原市と南足柄市の市長が自らの言葉できちんと協議の真意を明快にする必要があります。

「合併が有力な選択肢」などという回りくどい言い方では市民に事態の深刻さが伝わりません。合併に向けて協議せざるを得ないと判断したとなぜ明言しないのでしょうか。

首長としての指導力が大きく問われる局面です。特に南足柄市はそうです。小田原市の人口19万3千人に対し南足柄市は人口4万3千人で吸収に近い形になります。

南足柄市という名前は消えるでしょうし山北町や開成町と接する市の北部の地域は小田原市の中心地域と相当に遠くなり廃れる心配があります。

こうした素朴な疑問に応えなければならないのは首長です。首長が覚悟を決めて堂々と市民に問うべきです。役人まかせでは本当の議論はできません。

南足柄市長は合併に慎重な立場を示し5年前に市長に当選しました。その基本スタンスが変わらざるを得ない状況の変化について説明する必要があります。

市長自らの言葉で合併の必要性を説いて初めて市民は本気で考えるようになります。中途半端な姿勢は議論をも中途半端にし南足柄市にとって不利な状況を作ります。

神奈川県西部地域の将来を左右する議論です。両市の市長が覚悟を決めて正々堂々と議論をリードするよう切望します。近隣町も強い関心を持つべきです。