”アクティブ ラーニング”のまちづくり
”アクティブ ラーニング”という言葉、ご存知でしょうか。一般にはまだなじみがないと思います。しかし教育関係者の間では頻繁に耳にする言葉です。
直訳すれば「能動的な学習」となります。学習者が主体的に学ぶ意欲を持って学習できるようにリポートを課したり発表の会会を与えたり工夫する取り組みです。
15日は、東京大学の「ホーム カミングデイ」でした。卒業生たちに大学に戻ってきてもらい大学の今を知ってもらおうという催しで今年で15回目です。
出身学部の教育学部で興味深い講演の案内があったので参加しました。。市川伸一教授による学習指導要領の改訂の方向性についての講演でした。
受験戦争で詰め込み教育が問題となりゆとりを持って学習する方向性が打ち出されました。学習する内容が大きく削減されたのが1990年代の改革でした。
2000年代に入り逆に学力の低下が問題となって来て国際的な学寮指標で日本の子供たちの到達度蘭金の急低下が騒がれ出し「ゆとり教育」をめぐって論争が起きました。
2005年の学習指導揚力の改訂で再び授業時間数を増やすことになり今日に至ってます。そして今後の方向性をどう導くか現在議論が重ねられています。
学習者が自ら学ぶ意欲を喪って学習し上辺の知識の習得ではなく実際に活用できる真の学力を身に付けるように促す方向性は堅持されるとの見通しでした。
そこで焦点となっているのが”アクティブ ラーニング”でした。市川教授は”アクティブ ラーニング”について「教えて考えさせる授業」と端的に要約されていました。
そのために教師は様々な図を活用したり工夫を凝らします。生徒たちを少人数のグループに分けてそれぞれ発表させてグループ間で議論させる機会を設けます。
間違えてはいけないのは自主性を持たせると言っても学習者に丸投げではないということです。教師がまずは教えてその後で考えさせるという順番は大切です。
市川教授の話を伺っていてまちづくりに応用できると直感しました。まちづくりをめぐる改革も教育改革の辿ってきた道のりと良く似ています。
国が設定した路線にただつき従うことへの反省から地方分権の流れが生まれて地域住民と一緒にまちづくりに取り組むことの重要性が強調されました。
「協働」という言葉も誕生しました。しかし、この結果、行政が自らの責任を果たさないことと紙一重の状況が生じました。これでは本当の「協働」にはなりません。
住民が主体性を持って自らの地域のまちづくりを考えて行くためには行政の側がまず最初に半歩前に出て課題をまとめ方向性を打ち出すことが必要です。
それで初めて本格的な論議が可能となります。行政が腕組みして住民の皆さんの発意を待つだけでは結果として何もしないのと同じことになってしまいます。
まちづくりにも”アクティブ ラーニング”の手法を取り入れて住民に提起するための工夫を凝らすべきです。住民が本当の主体性を持つため不可欠な取り組みだと思います。