フィリピンのドゥテルテ台風?上陸。

フィリピンのドゥテルテ大統領、同盟国アメリカとの関係の全面転換にまで言及するなど破天荒ぶりが際立っています。その当人が今日来日します。

今月中国訪問し、習近平主席との会談で南シナ海の領土問題に触れず友好関係の構築、最優先でした。両国の最大の懸案がかすんでしまうかもしれません。

中国とフィリピンの領土問題の対立の存在を大前提にして中国への圧力をかけていたアメリカはさぞかし面喰っているのではないでしょうか。

日本の安倍総理はアメリカと一緒になって南シナ海の領土問題を取り上げて中国の姿勢をけん制することで日米同盟強化の姿勢を鮮明にしてきました。

二国間の対立が無くなってしまえば何のために吠えていたのか判らなくなります。両国、特に中国から余計な口出しするなと逆襲される材料ができてしまいました。

中国もフィリピンの取り込みに躍起になっていて日本円にして2兆5千億円の経済援助を表明したと報道されてます。現在の日本では出来ない大盤振る舞いです。

それにしてもドゥテルテ大統領の振る舞いを耳にする度にアメリカの覇権の揺らぎを感じます。アメリカに対してここまで露骨な態度を取るのは驚きです。

かつて日本の田中角栄総理は、1972年総理就任直後、怒涛の勢いで日中国交正常化に突き進み実現しました。決断と実行の政治です。背景には国民の絶大な支持がありました。

しかし田中総理はその後、金脈問題で追及され最後はアメリカの多国籍企業ロッキード社からのわいろを受け取ったとされる事件で失脚しました。

田中元総理とドゥテルテ大統領、政界のリーダーとしての登場ぶりが似ているような気がします。2人とも地方から這い上がってきて強固な支持基盤があります。

デゥテルテ大統領のことをフィリピンのトランプ氏と表現する向きもあります。しかし、それはドゥテルテ大統領の暴言癖だけを捉えた表面的な見方です。

強権的な手法についての是非はあるにしても麻薬対策に実績を挙げて今日があります。政治家としての実績が皆無のトランプ氏と同列に論じることは誤りです。

田中元総理はアメリカの意向に逆らって自主外交を展開し最終的に失脚しました。ドゥテルテ大統領の行く手にはどのような運命が待ちかまえているのでしょうか。

田中元総理の時代環境と現代とでは大きく異なります。それはアメリカの弱体化です。ドゥテルテ大統領の活路が拓けるかもしれない可能性はそこにあります。

ドゥテルテ大統領の登場は、南方に台風が発生したようなものです。台風が発達しアメリカ一辺倒の日本の外交を再考せざるをえない事態になるかもしれません。

日米同盟の存在は、日本外交にとって強固な岩盤のようなもので崩れないことを大前提としてきました。日米同盟の見直しは天変地異と同じです。

アメリカに対するドゥテルテ大統領のこれまでの言動はその天変地異を引き起こす可能性を秘めています。安倍総理との会談でどんな発言が飛び出すのか大注目です。