岩手県の漁網廃棄物の受け入れ問題を考える。

箱根町の山口町長と南足柄市の加藤市長が岩手県洋野町の津波で打ち上げられた漁網合わせて300トンを受け入れる方向であることを明らかにしました。

山口町長も加藤市長も行政マンの出身で慎重に事を進めるタイプです。水面下でどのような動きがあったのかはうかがい知れませんが今回の思い切った決断に驚きました。

被災された地域の困難を想うと一日も早い解決を望みたいのはやまやまです。しかし、今回のがれき処理の問題は、課題を多く抱えています。慎重に議論して進める必要があります。

がれきなどの廃棄物処理は、復旧のいの一番です。地区内処理の大原則にたって計画を立て迅速果敢に断行する必要がありました。前政権の判断は間違っていました。

放射能汚染の問題を抱えていて広域で処理と言ってもスムーズに進まないことは誰でもわかります。カネもかかります。やれるところから地元でどんどんやれば良かったのです。

その後、横浜国立大学名誉教授の宮脇昭先生ががれきを活用してマウンドを造りふるさとの樹木を植えて森の防潮堤を創ろうと呼びかけました。実現に向けて動き出しています。

しかし、国は一貫して広域処理にこだわりました。こうした中で神奈川県は黒岩知事が地元の了解なしに漁網の受け入れを表明しました。処分場のある横須賀の住民が反発するのは当たり前です。

横須賀はダメになり結果として箱根と南足柄で何とかしのいで約束を果たすとなったのが現状です。国の頑迷さもひどいですが黒岩知事の進め方もまずいです。

懸念の第一は、放射能汚染の問題です。キログラム当たりの線量が低いと言っても全部足し合わせれば大きな量となります。安全性についての確認不可欠です。

黒岩知事が事情を説明した上で県と県内の市町村が今回の処理について共通の理解を得ることも必要です。県全体として今回の問題に共同で対応したという姿が望ましいです。