政府「スーパーシティー」構想への懸念

デジタル革命をまちづくりに応用していく方向性を政府が「スーパーシティー」と称していることを知りました。

日本が出遅れているデジタル革命をまちづくりに取り込んでいかなければならないのは理解できます。

その結果、どのようなまちづくりを目指しているのかを示すにはネーミングは大切です。

どのような理想社会を根っこに有しているかが名前に表れるからです。名は体を表すです。

政府が目指している方向性が「スーパーシティ」だと知ってまずピンと来たのは沢田研二さんの歌でした。

1980年に発売され大ヒットした「TOKIO」です。沢田さんが奇抜な衣装で空を舞ってました。

「空を飛ぶ街が飛ぶ雲を突き抜け星になる 火を吹いて闇を裂きスーパー・シティーが舞い上がる」

歌い出しが斬新で過激です。作詞したのは、かのコピーライターの糸井重里さんです。

「欲しいなら何もかもその手にできるよAtoZ 夢を飼う恋人に奇跡を生み出すスーパー・シティー」

2番です。日本が最も勢いが良かった時代の何でも実現できそうな空気感が表現されてます。

1980年代はジャパンアズナンバーワンと言われてました。世界を制覇するのではと怖れられるほどでした。

40年前と現在とは取り巻く状況は一変してます。日本は衰退国家の色合いを濃くしてます。

この状況で目指すまちづくりのイメージが「スーパーシティ」であることに首を傾げざるを得ません。

夢よもう一度という気持ちは理解できない訳ではないのですが余りに環境が異なっているのが気がかりです。

日本企業の代表選手トヨタは独自にスーパーシティーづくりに挑戦を始めています。

静岡県裾野市の自社工場敷地をデジタルや人工知能技術を駆使した未来都市の実験場とする計画に着手しました。

工場のように閉じた空間でなく一定の開かれた空間を創り未来都市のモデルショールームとするという感じです。

一般の住民の生活する場ではなくあくまでも切り取られた実験の場であることは忘れてはなりません。

政府が地方自治体に呼び掛けてスーパーシティーを創るとなると単なる実験場とは行きません。

街は生活の場である訳ですので実際に生活している人を対象に社会実験するには抵抗も予想されます。

デジタルや人工知能技術の活用の方向性は必然にしてもどのようなやり方で進めるかは慎重さが求められます。

政府は例によってモデル都市として先行事例を積み重ねて行こうとする国家戦略特区手法を考えています。

「まるごと未来都市」の実現を掲げてます。しかし具体の街の姿は走りながら考えて行こうとしてます。

近隣では小田原市が応募の準備を進めているということで住民説明会のスケジュールが発表されてます。

先に住民の合意を取り付けようということは実験的な手法であるので成否が不透明ということだと思います。

応募する側の地方自治体の方がよほど確固たるビジョンを持っていないとイメージ先行で混乱する恐れがあります。