新型コロナウィルス対応の政治学84~危険な賭け~
昨晩、NHKの7時のニュースを見ていたら画面が突如切り替わり菅総理が登場しました。
記者団の前で1都3県の緊急事態宣言を21日で解除すると説明する姿が映し出されました。
期限いっぱいぎりぎりまで悩み抜いて良いほど微妙な課題なのに決断が早すぎると思いました。
今日の諮問委員会を経て正式決定という運びとのことです。危険な賭けに出たと直感しました。
まず今日の諮問委員会での意見が気になります。常識的には懸念の声が出てもおかしくはありません。
日本医師会や東京医師会などの関係団体の反応は厳しいと予想されます。諸手を挙げて賛成とはほど遠いでしょう。
東京都内の感染者数は再び上昇傾向で埼玉県もそうです。1都1県は継続という選択もありました。
埼玉県の大野知事は継続を望んでいると受け取れる発言を繰り返してましたので考慮しても良かったと思います。
最悪のシナリオは21日で宣言が解除されて以降再び感染者数が東京都を中心に急上昇することです。
同時進行で変異株の感染が拡大し全国で変異株による感染者や死者が出ることです。
春本番で間もなく春休みです。お花見、卒業、入学と行事が続き人の動きが激しくなります。
1年前のように緊急事態宣言を再び発出という事態に陥ったら菅総理に対する風当たりはきついです。
政権に対する逆風を受け止めて跳ね返す足場と考えている訪米さえ実現が危ぶまれてきます。
オンラインで開催となってしまったら効果半減どころか100分の一でしょう。悪夢としか言いようがありません。
東京オリパラもいよいよ開催断念かという空気感も日本だけでなく世界中で起こってくるのは確実です。
開催の中心都市が4波めの新型コロナショックに襲われるのですから危険極まりないと思うのは常識です。
現段階の世論調査で30%以上の国民が中止が望ましいと考えています。4波となれば更に上昇します。
東京オリパラを開催したいといくら踏ん張っても状況が許さなくなります。菅総理は追い込まれます。
政局とも連動します。自民党内で体制立て直しの声が巻き起こるのは確実で総理退陣への動きとなります。
新型コロナ対応で菅総理はすでに一度危険な賭けに出ました。GoToキャンペーンの実施です。
経済再生と感染防止は両立できると踏み込みました。新型コロナウィルスはあざ笑うかのようにはびこりました。
今度の宣言解除は2度目の危険な賭けです。再びリバウンドを招来すれば前回以上に批判の声は強いでしょう。
教訓を学んでいないからです。まいた種は自ら刈るのが大原則です。自ら刈るとは退陣ということになります。
過去への遺産はアメリカとの間で日米同盟の強化を確認し対中国政策の基軸を決めたことぐらいでしょうか。
東京オリパラ中止となればその責任を一身に背負い次の総理の身を軽くすることも遺産と言えば遺産と言えます。
今度の緊急事態宣言解除の早期決断は、以上のような最悪シナリオを頭によぎらせます。