新型コロナウィルス対応の政治学86~まんぼうとワクチン~

まん延防止措置のことを「まんぼう」と最初に紹介したのは政府の分科会の尾身会長です。

尾身会長は、一連の新型コロナ対策で常に自信に溢れ的確に解説を続けている方です。

その尾身会長が「まんぼう」といきなり発しました。何のことと首を傾げた人は多いと思います。

私も緊急事態に至らないよう防止するための新たな措置だと理解するまで少し時間がかかりました。

それと「まんぼう」という言葉が持つイメージがなんとも不可思議な印象を与えたことも事実です。

政府はこの言い回しでは緊急性を感じてもらえないとのことで使用しないようにしたと報じられてます。

私は「まんぼう」で大いに結構だと思います。かえって何なんだという印象で注目を集めるからです。

イメージより果断さが求められているのだと思います。菅政権に一貫して欠けている部分です。

「まんぼう」という措置を創設したのであれば自治体の要請を待つことなく先手を打った方が良いです。

6都県に拡大されることになりますがもう少し迅速に手を打てば菅総理の指導力を示せたはずです。

「まんぼう」は地域限定の措置であること以外は緊急事態とさして異なる内容ではありません。

ロックダウンのような強い措置を取らない前提の中での色合いの違い程度に過ぎません。

だとしたら政府の責任で自治体側に呼びかける積極性があってしかるべきだと思えてなりません。

後手批判に対する新たな姿勢だと受け止められるような行動をとるべきだと思います。

新型コロナ対策は結局はワクチンです。それまでのつなぎが「まんぼう」であり「緊急事態宣言」です。

ワクチンについて河野担当大臣が6月には全国の地方自治体の要望に応えられる量を確保できると発表しました。

河野大臣の脳裏にはワクチン確保のめどが立たないためスケジュールが組めないとの批判があったはずです。

6月になれば何とかなると宣言をしたかったのでしょう。いわば反転攻勢の一手です。

攻めが得意の河野大臣としてはいち早く打ち上げたかったのだと推測します。しかし危ない橋です。

ワクチン接種はブログで何度も指摘しているように当初の予定からずれ込む中での守りの政策です。

高らかに満足いく量が確保できると宣言しても自国で生産できている訳ではありません。リスクは残ります。

慎重なうえにも慎重にあらゆる可能性を丁寧に全国の自治体や国民に伝えるのが担当大臣の役割です。

予定通りに行かないことがあっても自治体や国民の納得が得れるような広報が必要だと思います。

6月の確保できるとしても1日から30日まで幅があります。2回接種ですので6月完了とは行きません。

この辺りの事情を配慮したうえで誤解を生じさせないようなきめ細かい広報を行うべきです。

河野大臣タイプの攻めの政治家は苦手な分野です。フォローがないと将来の火種となります。

「まんぼう」においては迅速果敢さ、ワクチンについては、丁寧さに問題を残していると思います。

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