菅総理、師への恩返しの道
菅総理の政権運営に対する国民の審判はダメ出しでした。天上の梶山静六さんがどう見ているか気になります。
師匠は、これからだと奮闘を促すのか、根本姿勢が間違っていると叱正するかどちらでしょう。
石原慎太郎都知事が就任直後梶山さんのところを訪れ「梶さん何をしたらいい」と助言を請いました。
さすがの石原さんも都政のことをほとんど知らないまま都知事に就任し不安感を持っていたのです。
梶山さんの答えは破壊でした。これまでの都政運営を根本から変えろと叱咤したと伺いました。
梶山さんは新たな仕組みを創り出すためには現在の仕組みを壊さなければならないというのが持論でした。
イノベーション、創造的破壊論です。カリスマ性のある石原さんにはできると期待したのでしょう。
菅総理には石原さんのようなカリスマ性はありません。たたき上げで地味さが持ち味です。
任期が残り5か月となった今の菅総理に梶山さんならどんな助言をするか探ってみます。
菅総理は、国会議員になった時、国民に飯の種を提供するのが政治家の役目だと梶山さんから言われたと述べてます。
コロナに悪戦苦闘する現在の日本にも当てはまりそうですがこの助言は趣旨が違うと思います。
日本経済の全般的な衰退傾向を懸念し政治家は新たな産業の創出が仕事だという考えを示したものです。
梶山さんは未曽有の危機に直面しもがいている現在の菅総理に対しては政策的な助言をしたとは思えません。
政治家としての身の処し方を語ったと思います。政策だけでは深刻な危機を乗り越えられないからです。
梶山さんはなぜ総理となったのか明確に語れないことが菅総理の最大の弱点であることを瞬時に見破ったでしょう。
一方、口下手の菅総理が立て板に水のように政治信条を語ることが出来ないことも熟知していたと思います。
ならば口先ではなく身体から発せられる気合で勝負しろと菅総理に喝を入れたと思います。
菅総理に対し棚からぼたもちの総理ではないか怖いものはない本気で死ぬ気でやれと言ったはずです。
梶山さんは自らを土民軍と称し地域に根差した国士として決死の行動をとることを理想としました。
しかも陸軍航空士官学校出身です。戦場で死ぬことを当然のこととして覚悟していた体験者です。
その精神をその気合を菅総理に注入しようとしたと思えてなりません。政策を超えた次元の話しです。
菅総理から迷いや恐怖心を消してもっとはつらつたる心理状況で困難に立ち向かって欲しいとの親心と言えます。
迷いや恐怖心が無くなれば発せられる言葉は力強くなり政策も思い切った断を下せるようになるはずです。
新型コロナへの財政支援も東京オリパラの中止も怖れなくなり落ち着いて考えることができます。
いかなる困難に対しても平然と泥をかぶることが使命だと淡々と受け止めることができると思います。
そうした菅総理の捨て身の振る舞いは天上の梶山さんにこの上ない喜びを与え恩返しになると確信します。