新型コロナウィルス対応の政治学90~工程表~
7日の午後7時からの菅総理の記者会見、ラジオ日本の記者が私にとって忘れがたい用語を使って質問しました。
「工程表」です。ワクチン接種に向け国と地方自治体の情報共有のため工程表を作る考えの有無を総理に質しました。
菅総理は作成するかどうかには直接言及せず国と地方自治体と力を合わせてといった受け答えでした。
菅総理の記者会見に落胆させられるのは慣れっこになってますがこれまで以上に力が抜けました。
「工程表」は、菅総理が師と仰ぐ梶山静六さんが頻繁に使っていた用語で政治記者時代には耳にタコでした。
梶山さんの弟子であるなら開口一番”よくぞ言ってくれた。「工程表」は梶山さんの政治手法だった。”と切り出すはずです。
梶山さんの思い出に触れ「工程表」づくりに打って出る考えを表明する絶好の機会でしたが逸しました。
梶山さんは完ぺきな理系人間でした。政策を実現するまでのプロセスを入念過ぎるほど緻密に練る政治家でした。
その結果を紙に書いたものを梶山さんは「工程表」と呼んでました。梶山さんの政治手法の肝なのです。
新型コロナ対応の政府対応に欠けているとも割れる課題に国と地方自治体の情報共有があります。
国、地方自治体双方で同じ目標を持って取り組んでいるように見えず溝があると感じます。
ワクチン接種の推進に向けて双方の共通理解が進むためにも政策実現までの「工程表」が欲しいです。
梶山さんのように厳密な「工程表」の作成は現状では無理そうです。不確定要素が多いからです。
それでもおおむね共通理解とされるレベルにまで内容を詰めることは可能だと思います。
菅総理は梶山流の政治手法のうちで最も学ぶべき大切なポイントから目を背けていると言わざるを得ません。
一日あたり100万人のワクチン接種を目標とすると菅総理は記者会見で述べました。
国民が聞きたいのはスローガンではありません。100万人接種が可能であることを具体的に示せる証拠です。
医療スタッフの確保や国から地方自治体への支援体制が具体的に見通せなければ「工程表」はできません。
「工程表」が作成できること自体が確たる証拠となります。実現の可能性が見えてきます。
東京と大阪に今月24日に開設予定の大規模ワクチン接種センターも100万人の中に当然入ると思います。
構想を先月発表の時点で実現までのプロセスを明示した「工程表」が欲しかったです。
自衛隊の協力が可能であり人員の確保も出来る根拠があることがわかれば国民の信頼につながるからです。
菅総理は、師匠のDNAを受け継いでいることを示すためにも「工程表」の作成に全力を注ぐべきです。