新型コロナウィルス対応の政治学92~感染症ムラ1~
札幌医科大学医学部 附属フロンティア医学研究所 ゲノム医科学部門が新型コロナデータをわかりやすく公開してます。
直近7日間の人口100万人当たりの日本の新規感染者数は201.4人。アルゼンチンが4737.7人で断トツです。
ブラジルが2031.7です。南米の感染拡大が猛威を振るってます。インドは827.8となってます。
アメリカは425.6、イギリスが317.4、インドネシア149.2、韓国75.5、中国0.1です。
一方死者数は、直近7日間人口100万人当たりでアルゼンチンが75.1、ブラジルが60.5です。
インド16.1、アメリカ13.7、日本5.2、インドネシア3.9、韓国0.5、中国0.0です。
ワクチンの接種状況はNHKのまとめですと累計接種回数の一番は中国で6億3千回分接種済みです。
次いでアメリカが2億9300回。日本の接種回数は1億2千回余りで比較している20か国の内で韓国に次いでブービーです。
医療ガバナンス研究所の理事長で臨床医の上昌弘さんがこ牛た日本の現状を歯に衣着せず批判してます。
『日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか』で毎日新聞客員編集委員の倉重篤郎さんが聞き手となってます。
上さんとは町長時代に地方分権関連のシンポジウムでご一緒させてもらったことがあります。
倉重さんは大学の同じ学科の先輩です。2人ともなじみがあったこともあり本を手に取ってみました。
日本のコロナ対応の混迷の根っこには厚労省の医療系技官が仕切る構造的な問題があるとしてます。
医療系技官が仕切る体制を「感染症ムラ」と名付けていました。ムラの特性として閉鎖的で情報公開が不得手です。
PCR検査拡大が世界の潮流となり無症状者の把握と治療に重点を置きました。日本はこの流れに背を向けました。
濃厚接触者にこだわり限定的な検査に終始しました。市中感染を見逃す要因となりました。
いったん陽性となれば当初は全員入院措置を取りました。病床ひっ迫の原因を自ら作り出しました。
明らかな判断ミスです。しかし「感染症ムラ」に予算を握られている医療現場からは異論が出にくい構造となってます。
国の方針と異なる対応を取った自治体も紹介されていて、東京世田谷区の保坂区長の発言が引用されてました。
「野中広務さんや亀井静香さんが現役ならば対応が違っていた」と感想を述べてます。
官僚の言いなりではなく国民のためにド迫力で官僚に迫る政治家がいないと嘆いているのです。
新型コロナ対応に当たっている政治家が胸に手を当て自らを省みる警句だと受け止めるべき指摘です。