じいじの脱男性社会論

以前”わんぱくでもいいたくましく育ってほしい”というハム会社のCMが一世を風靡しました。

お父さんとたき火を囲んでいる少年の前で焼けたハムがクローズアップされたのが印象的でした。

あの時代から40年以上が経過し、このテレビCMを思い返してみると時代の価値観の変化の激しさを感じざるを得ません。

野性味とかたくましさという価値観はさほど目立たなくなりやさしさとか多様性を重視する時代に移っています。

やさしさを前面に出す社会の弱点として男性のひ弱さを懸念する見方があります。私もそのひとりでした。

神奈川大学で講義するようになって8年目。現代の男子学生はまじめです。一方たくましさに欠けるように見えます。

このままでは日本の将来は危ういと漠たる不安感を持ってました。しかし徐々にその気持ちが変化してます。

息子家族が実家に戻ってきて7年目です。3人の孫君たちの子育てをお手伝いしたからです。

特に最近は1歳10か月の僕ちゃんの子守りをしていっそうそうした思いを強めています。

子育てはかなりの忍耐が必要です。自分の時は超多忙で子育ては全て妻に任せきりでした。

幼児を見守るのは目が離せないので骨が折れます。よくぞ続けていたものだと感心します。

もっと早くこうした経験をしていれば男性中心の価値観が変わったことは間違いありません。

現代社会を貫く価値観は主として女性が担ってきた育児や子育てを排除した男性の価値観で成立してます。

生活の場より仕事が優先です。競争や闘いで勝つことが重視されます。そういった意味のたくましさが求められます。

ところがこの男性的たくましさの行き着く果ては地球全体の乱開発でありその結果の地球温暖化です。

世界中で資源を求め繰り返される戦争です。これでは何のためのたくましさかわからなくなります。

根本から修正するのにはたくましさの目的は何かという原点に立ち返ることが不可欠です。

必然的に男性中心の世界観を生活の場に立脚してきた女性原理の導入を修正することになります。

自然を守り命と暮らしを大切にする新社会を創造する意味でのたくましさへの転換です。

こうした視点からみると現代の男子学生のひ弱さは必ずしもマイナスではありません。

既存の男性の価値観から抜けて女性原理の持つやさしさを取り入れていると思われるからです。

但し女性原理だけでは課題解決しません。困難に立ち向かう勇気や挑戦する気概といった男性原理は依然不可欠です。

女性原理に男性原理を組み込みむことが新時代を創ります。女性原理と男性原理の新結合でイノベーションを起こすのです。