人生ノート8~古民家の再生~

温故知新という有名な言葉があります。古典や伝統や歴史の中に入っていきその中から新しい何かを発見するという意味です。

私はこの言葉を実際に形にすることを考えました。開成町で最も古い民家として残っている屋敷を再生して蘇らそうと考えました。

瀬戸屋敷。江戸中期から続いている旧家です。屋敷の広さは1800坪。ご主人が亡くなられて奥様がひとりで管理されていました。

相当に荒れていました。瀬戸家で話し合いが持たれました。全てを町に寄付することが決まりました。離れを用意して奥様には移ってもらうことになりました。

2005年が町政施行50周年。この年に合わせて5年計画で骨格を残しながら全面的に改修することになりました。

古民家を直すには時間とお金がかかります。4億4千万円。当時の岡崎洋神奈川県知事が動いて下さり国と県から60%の補助金をいただきました。

この建設の途中で不思議な体験をしました。屋敷の前の庭の真ん中に大きなヒマラヤ杉が植えてありました。伐採するしかありません。

瀬戸屋敷に行くたびにヒマラヤ杉に向かって伐らなくて申し訳ないと呼びかけました。不思議なことにヒマラヤ杉は自然と枯れました。

瀬戸屋敷は現在オープンして8年。子供たちの体験学習の場、屋敷や土蔵を使っての芸術や文化の発表の場となっています。温故知新が形となりました。