自民党内のハト派復活への期待

性的少数者に対する理解を深めるLGBT法案に対し自民党内で大議論となり結局まとまりませんでした。

与野党間で法案成立で合意していたにもかかわらず約束が反故にされたことは好ましいくありません。

しかし国を動かしている自民党内で大議論が行われたこと自体は歓迎です。熟議へのとっかかりとなります。

本来ならばこうした大議論がその他の分野特に外交や安全保障について行われなけばなりません。

中国の習近平総書記に国賓来日をめぐって党内の反中国派から反発は出たもののLGBT法案ほどにはなりませんでした。

二階幹事長が親中派ということもあってほどほどのところで矛を収めないとまずいという忖度があったと思います。

自民党を牛耳っているその時々の権力者にこびへつらっていては国の方針を誤ることにつながります。

自民党は日米同盟基軸です。中国が覇権主義的傾向を強めている現在の国際情勢を踏まえれば当然です。

しかしだからといってここで思考停止してはアメリカの国家戦略に引きずれれてしまいます。

自民党の中で議論を深める余地があるはずです。自民党内のハト派の勢力が弱体なので議論にならないのです。

かつては保守本流と言われる宏池会はハト派の牙城でした。池田、大平、鈴木、宮沢と4人の宰相を輩出しました。

軍事力より経済を重視し国際協調路線を唱えました。2001年の小泉政権の誕生とともにこの路線は後退しました。

派閥で言えば現在の細田派につながる旧福田派の潮流が主流となっています。安倍前総理はど真ん中にいます。

日米同盟を基軸に軍事力強化を求める流れがあまりに強く外交や安全保障分野での甲論乙駁の議論は影を潜めています。

これはまずいと思います。再び名門宏池会はハト派の原点に立ち返り新たな観点から問題提起する責務があると思います。

9月には自民党総裁選挙があります。安倍前総理の路線を引き継いでいる菅路線とは別の道を打ち出して欲しいです。

宏池会を率いる岸田前政調会長は4月の地元広島の参院補選で自党の候補者を落選させました。

この傷を克服するためにも保守本流の見識を現代の国際状況に合わせ修正し力強いハト派論を打ち出して欲しいです。

独自性の焦点となる国家像は国連との関りにあります。日本は再び国連を通じた国際貢献国家像を示す時です。

地球温暖化防止や貧困を撲滅するSDGs、新型コロナも核兵器禁止条約の批准も全て国連です。

日米同盟と国連外交のバランスをとることでハト派として問題提起は十分可能だと思います。

自民党内ハト派の復活は党内の論議を活性化させます。日本国家に貢献する道でもあります。