イタリアの地方自治に学ぶ

日本とイタリアは第二次世界大戦で米英を中心とする連合国に敗れたともに敗戦国です。

イタリアの近代国家統一は1861年のイタリア共和国の成立です。日本は1868年の明治維新です。

19世紀後半に近代国家という体裁を整えて世界に打って出て全体主義的国家として戦争に敗れました。

両国の国内の政治体制も同様なのかと思うのは大違いです。内政の統治方向は全く異なります。

イタリアには市町村合併がありません。8000ほど存在するコムーネと呼ばれる基礎自治体の数は一貫してます。

日本は市町村合併の嵐です。日本に市制町村制が敷かれた1889年には15859の市町村がありました。

戦争に敗れた1945年にはおよそ1万に、昭和の大合併で3300に、平成の大合併で1718です。

この内政の統治方法の違いは国柄を変えてます。かたや超分権型国家、かたや東京一極集中の中央集権国家です。

20日神奈川大学の政策過程論でゲストを招いて特別補講を行いました。テーマはイタリアの社会と日本の違いでした。

三菱UFGリサーチ&コンサルタンツ研究員の中小路葵さんにイタリア社会の特徴をやさしく話してもらいました。

中小路さんは学生時代に50か国を放浪した経験があるという料理が大好きな20代の女性です。

なぜかイタリアに惹かれてイタリアの勉強を続け9月に世界最古の大学と言われるボローニア大学の大学院に留学します。

中小路さんはコムーネが健在で各地域の個性が豊かなところがイタリアの特徴であり魅力だと語ってました。

都市の人口規模も大きく違います。首都ローマで260万、東京23区内で927万人です。ミラノで124万横浜は378万です。

国の指示に対してコムーネが反発して国の指示が末端に届かないことも良くあるそうです。

イタリアはEU=ヨーロッパ連合の中心国のひとつですがEUの合意を守らない点でも困った国とされます。

このあたり法的な根拠が無くても国の指示に基本的に従順な日本の地方自治の体質と大きく違います。

もちろんマイナスもあります。各地域の対応がバラバラでひとつの目標に向かってまとまるのが苦手です。

脱二酸化炭素といった大きな目標に対して個性豊かな地域の国であるイタリアはどう対応しているか中小路さんに聞きました。

ばらばらのように見えて各地域それぞれが自然を大切にして持続可能な地域を目指しているとのことでした。

日本の市町村も学ぶべき点があると思いました。各地域の特徴を活かした形で脱二酸化炭素に取り組む点にです。

国の指示を待っているのではなく地域の個性に合った形で取り組むスタイルに魅力を感じました。

 

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