あっぱれ!柔道ニッポン

日本柔道の目覚ましい活躍に心躍る日々を送った方は多いと思います。私もそのひとりです。

テレビ画面に見入りながら力が入り選手と一緒に闘っているつもりで身体をよじったりしてました。

帯状疱疹の痛みを忘れられる最良の鎮痛剤でした。それにしても金メダル9個は偉業としか言いようがありません。

東京オリンピックの場で日本柔道が世界を席巻してしまったと言っても良いのではないでしょうか。

団体戦が銀メダルに終わった後の選手たちのインタビューがこれまた素晴らしかったです。

仕切っていたのはキャプテンの絶対王者大野選手です。戦った順に選手をカメラの前に導いてました。

最後に大野選手が登場しました。優勝したフランスの強さを讃え、オリンピック開催にも感謝の気持ちを述べました。

悔しさをぐっとこらえて感情的にならずに淡々と答える姿にはこれぞ王者の風格が漂ってました。

男子選手の活躍の背景には井上康生監督の人心掌握術があったのは間違いありません。

井上監督と言えばシドニーオリンピックの目の覚めるような内股が記憶に焼き付いてます。

トップ選手が集うオリンピックで相手がまるでけいこ相手でもあるかのように軽々と畳にたたきつけるのですから。

井上監督はシドニーの次のアテネで2連覇確実と目されました。日本選手団の主将にもなりました。

ところが井上選手はメダルを逸しました。相手国が井上監督の柔道を徹底的に研究し強みを消したのです。

ここからが井上監督のすごいところです。敗退の後オリンピック終了まで残り他の選手たちを激励したのです。

閉会式にも参加し主将としての責任をまっとうしたのです。あっぱれというほかはありません。

絶対王者と言えども敗れることはあるとはいえ期待に応えられなかった悔恨の念は想像に絶します。

そうした個人的感情を乗り越えて主将としての責務を果たした姿はすでに今日の監督としての成功を暗示してます。

敗戦したことで敗者に寄り添うことができます。闘いに敗れた選手をねぎらっている姿に表れてます。

科学的トレーニング法を駆使して勝利を引き寄せるだけでなく選手の心のひだに分け入って支えています。

井上監督のもとだからこそ大野選手のような人間としてもすぐれた選手が出るのだと思います。

井上監督は東京オリンピックで9年の任期を終えて勇退すると報道されました。見事な手腕でした。

2012年のロンドンではメダルゼロだったのが今はメダルラッシュです。ワンチームになったからだと思います。

井上イズムを継承すれば3年後のパリオリンピックでも世界のお手本となる柔道を見せてくれるはずです。