黄昏時の横浜カジノ

横浜市役所の2階でカジノを含むIR=統合型リゾート施設の模型とパネル展示がされてます。

昨日横浜に所要があり立ち寄ってみました。ひとり熱心にスマホで写真を撮っている若い男性がいました。

お昼時でしたがその方と私以外に展示を見る人はいませんでした。横浜市の鳴り物入りの政策が色あせて見えました。

「横浜イノベーションIR]とのタイトルがついた広報誌がありましたので手に取って読んでみました。

横浜市のIRに対する広報戦略が色濃く反映している内容でした。カジノそのものから避けているのです。

昨年神奈川大学の講義でIRを取り上げた時、ゲスト講師に参加してもらった横浜市職員の説明も同様でした。

IRはカジノではなく大規模な国際展示場とか最高ランクのホテルとか各種施設が揃った開発事業だと強調してました。

確かに一面はそうですが利潤を生み出す原動力はカジノです。そこを説明しないと説得力がありません。

カジノを運営するあるオペレーター企業の日本法人の代表者にも講義に参加してもらいました。

この方は逃げずにカジノが利潤を生みだしそれによって全体の事業運営が円滑に回り地域貢献もできると明言してました。

この講義は学生たちの反応も極めてよく試験レポートでも賛成派の学生が多数を占める要因になってました。

横浜市の広報戦略と真逆の姿勢に私には受け止められました。いわば腰が引けた戦略は禍根を残したと思います。

カジノを含むIRが生き残るためには推進を訴えている林市長が市長選挙で圧倒的勝利を収めるしかほかに道はありません。

自民党の大勢が反対派に回り公明党も恐らく追随すると見られる状況では圧勝はあり得ません。

カジノ反対派が分裂したので林市長が漁夫の利で勝利を収めたとしてもカジノの前途は厳しいです。

自民の大勢が賛成から反対に回り公明党もそうだとすれば議会内の賛成派がいなくなってしまうからです。

これまでは自公が議会内で多数派を占めていたために推進を堅持できたのが状況は一変するのです。

現状では横浜でのカジノを含むIR=統合型リゾート構想は蜃気楼のような存在となりつつあります。

これだけの一大開発事業なのですからもっと問題点を掘り下げ徹底議論をして欲しかったです。

感情的に断固反対、是が非でも推進だけでは不毛の論議です。政策過程という意味で課題を残しました。

日本は鋭く対立した政策をめぐる議論を冷静に進めることが苦手です。潰すか進めるかの二元対立です。

白か黒かの対立が先行してしまった時点で横浜のカジノは実現が危うくなったと見るのが正しい見方だと思います。