細部にこだわり未来を予見する
名女優の故・市原悦子さんが主演したテレビドラマに「家政婦は見た」シリーズがあります。
家政婦が垣間見た出来事から秘められた事実が暴かれていく番組でした。家政婦は目利きでした、
政治の世界でも市原さん演じる家政婦ばりの目利きがいました。薫陶を受けた野中広務さんです。
1970年代から1980年代中葉まで永田町を牛耳っていたのは田中角栄さんでした。
72年7月に総理になり74年11月に退陣したあとロッキード事件で76年7月に逮捕されました。
田中さんは田中派の数の力で歴代総理を裏から支配し永田町の闇将軍と怖れられましたが突如終りが来ました。
1985年2月に脳梗塞で倒れ病院に搬送されました。病院には多くの国会議員が闇将軍のもとに駆け付けました。
そんな中に野中さんもいました。野中さんはある大物秘書がとった行動を見逃しませんでした。
受付で自分のまたぐらに置いた紙袋に見舞金の入った袋をどんどん投げ込んでいたというのです。
野中さんは田中さんの病状は重く回復は容易でないと看取りました。「こらあかんと思った。」と語ってました。
野中さんのような鋭い眼力は常人には備わってません。些細な出来事を目を凝らし予兆を探すしかありません。
政治記者だった私は出会った政治家の内面を探るのに挙動だけでなく衣装や髪形、化粧まで目を凝らしました。
人間は不思議なもので何かがある時に身に着けているのものに変化がが出るものです。
男性ですとネクタイとか。女性は髪形や化粧の仕方に出ます。変化があるとさりげなく聞き出します。
記者にとって細部は大変貴重な情報源なのです。ボーとしていると見逃してしまい変化に気付きません。
8日は混戦となった横浜市長選挙の告示日でした。所要があって訪れた横浜市内の閑静な住宅地の出来事です。
ポスター掲示板がありましたので眺めていました。小さな異変に気付きました。
いちばん左側の一番下に貼られていたポスターが若干ですが歪んでいました。ぴちっと貼れていませんでした。
ポスターはシール式になっていた裏紙をはがして隙間ができないようにきれいに伸ばして貼ります。
初めて貼る方にとっては結構難しいのです。少しでも空気が入ると膨らんでしまいよじれるのです。
ポスターの当事者は小此木八郎さんでした。盤石の組織を誇る候補者の代表みたいな方です。
選挙慣れしているはずなのに驚きました。選挙体制に揺らぎが生じているのかもしれないと疑ってしまいました。
野中さんみたいな洞察力は私にはありませんので予見はできません。でも不思議な出来事を目にしました。