東京オリンピックをどう評価するか
NHKの世論調査によれば東京オリンピック開催を評価する声が62%、否定的評価が34%でした。
支持政党によって差が出ていて与党の支持層では8割が評価、野党の支持層では賛否が拮抗してます。
自民、公明の与党と立民、共産の野党のオリンピックに対する姿勢の違いがそのまま調査に反映されました。
この調査だけでオリンピックに対して肯定的だと断定する訳には行きません。表面的感想だからです。
そもそもオリンピックを中止してその結果がどうであったかと開催した場合とを比較はできません。
もう一度時間を巻き戻して今度は中止した場合で反応を見ることはできないから当然です。
ただし本音を垣間見る調査結果も同時に示されてます。それが菅内閣の支持率の低下です。
オリンピック開催はそれなりに良かったとは思うが感染爆発はいかがなものかという意識を伺わせてます。
オリンピックに対する直接の感想と内閣支持率の双方を突き合わせて本音を探るのが正しい見方だと思います。
オリンピックは新型コロナの感染拡大の厳しい現実に覆いを被せるベールの役割を果たしたと見るべきです。
日本選手の大活躍もありましたのでオリンピックをやって良かったと思う声は当然に増えます。
日本選手が不振に終わってしまったと仮定するとベールの効果はあせますので否定的声が増えたはずです。
この感情は菅総理にぶつけられますので内閣支持率は更に低下して危険水域になった可能性があります。
30%をわずかに割ったところでとどまったのは日本選手の活躍のおかげだと見て取れます。
政府はオリンピック開催の可否について明快な基準を示さないままなだれ込んだ印象を持ちます。
最後の最後に無観客開催を条件として国民の間に根強かった開催反対の声と折り合いを強引につけた格好です。
日本的決め方と言わざるを得ません。明確な基準がなくあいまいなまま時間だけが経過します。
今更止められないとなって開催へと向かいます。いつもながらすっきりしない日本型決着です。
どうしても開催したいのであれば無観客を早期に打ち出して安全安心の大会の準備を徹底すれば良かったです。
遅くとも4月25日の3回目の緊急事態宣言発令と同時に無観客開催を求めていく姿勢を鮮明にすべきでした。
最終的には無観客に追い込まれることが十分に想定されたのにもかかわらずズルズルと決定を先送りしました。
まるで第二次大戦末期の終戦をめぐる政府対応を見るかのようです。あの時は日本は焦土と化しました。
世論調査から読み取るべきはこんな政治を続けていたら日本の前途は真っ暗闇だということだと思えてなりません。