菅総理の変調
先週金曜日13日の夜7時のNHKニュースで菅総理のいら立つ様子が映し出されてました。
新型コロナの爆発的感染拡大の質問に対する答えでした。翌朝の神奈川新聞には自己擁護と書かれてました。
「世界で『ロックダウン』をして、外出に罰金をかけても、なかなか守ることができなかったじゃないですか。」と述べたのです。
ワクチン接種を全力で進めていると成果を強調してうえでの発言ですが開き直りみたいでいただけません。
菅総理は責任を認めることが本当にできない政治家です。今ある現実への評価を避けて頑張っているとかわすのが常です。
政治学の古典中の古典『職業としての政治』の中で著者のマックス・ウェーバーが言うところの心情倫理の立場です。
一生懸命頑張っているから許されるという考え方です。これに対抗するのが責任倫理の立場です。
こちらは結果責任を受け止める考え方です。結果がどうなったかで責任の所在を考えるのです。
トップリーダーが頑張ったから許して下さいと言いだしてしまっては収拾がつきません。
トップは常に結果責任を負うのが仕事です。この辺りの菅総理の責任観念のずれが気になって仕方ありません。
未曽有の困難に直面しています。トップが全ての結果責任を負う覚悟でやれること全てに取り組むのが当然です。
政府の分科会の尾身茂会長が人流50%削減を提言しました。実現するのは相当に高い目標です。
ところが招かれざる援軍がやってきました。前線です。梅雨末期のような記録的集中豪雨が全国的に広がってます。
人流を抑制する効果は間違いなくあります。大雨が降りしきる地域では外に出たくても出れません。
人流は抑制できても今度は自然災害が待ち受けています。新型コロナに効果的でも別の意味で危機をもたらします。
菅総理は防災担当大臣だった小此木八郎さんが横浜市長選挙に出馬することを後押ししました。
梅雨末期の豪雨が予想される直前の判断でした。防災を軽んじたつけが今出ているような気がします。
踏んだり蹴ったり状況です。こういったピンチだからこそトップの言動が極めて大切です。
それなのにいら立ちが募り精神状態に変調がきたしているとなると菅政権の先行きは不透明になります。
地元情勢に詳しい神奈川新聞の報道によれば横浜市長選挙で小此木さんは二番手となってます。
権力維持のための異例の策が失敗に終わる可能性が出てきました。菅総理のいらだちは倍加しているでしょう。
トップの精神状態は政権運営に直結します。一歩間違うと政権瓦解の危機です。永田町は政局の季節となりそうです。