出入国管理行政の闇
NHKの終戦ドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」を見ました。戦時下で正しく生きる困難さを問うてました。
物語は先の大戦末期の1945年に九州帝国大学医学部で実際にあったアメリカ人捕虜に対する生体実験事件を題材にしてます。
8人の米軍捕虜が死亡しました。物語の主人公は疑問を感じつつも教授の命令に背けなかった助教授です。
主人公はいったんは死刑判決を受けたものの減刑されて釈放され町医者として戦後を生きました。
長くなぜ命令を拒否できなかったかという良心の呵責と向き合い続けました。その思いがタイトルになってます。
ひとりの医学者として人体実験に手を染めてしまった事実に対し言い訳はできないと自らの在り方を問い続けました。
このドラマを見ていてふと現在進行中のある事件が頭をよぎりました。名古屋出入国管理局施設で起きた死亡事件です。
収容中のスリランカ人女性が体調の悪さを訴え続けたのにもかかわらず認められないまま死亡しました。
この女性は持病を持っていて同居者だった男性から家庭内暴力を受けていた疑いもありました。
死亡したのは今年の3月で直前には衰弱もひどく十分な受け答えも出来ない状態の時もありました。
それでも担当者たちは本国への送還を恐れて病状を大げさに訴え出ているのではないかとの疑いを持っていました。
この女性が診療を要請しても放置した状況が続き結果として死亡させてしまったことになります。
遺族らが収容中の女性の様子を撮影した映像の開示を求め近親者のみで視聴しました。
最後まで見ることができずに途中で中断しました。近親者として見るに堪えないと述べています。
冒頭で紹介した九州帝国大学での生体実験と今度の事件との直接の関連はありません。
前者は戦時中の異常事態で発生した事件でありスリランカ女性が死亡した事件の方は平時の出来事です。
しかし私には両者に共通の問題があるように思えてなりません。捕虜や違法滞在者に対する差別の感情です。
本来ならやってはいけないことをしても許されるという異常な感覚が横たわっていたのではないかと思います。
ドラマではこんなことをしてはいけないと医学者としての良心を持ち合わせていた人物がいました。
入管の職員の当事者たちの間にはそうした良心の持ち主はいなかったのでしょうか不思議です。
報道で知る限り虫けらのごとくの扱いに思います。それこそ虫ほどのささいな良心があれば疑問を呈したはずです。
漫然と行為がなされていたとすれば入管行政の闇はとてつもなく深いです。真相究明が断じて必要です。