新型コロナウィルス対応の政治学100~菅政権の窮地~

新型コロナは安倍政権を吹き飛ばしただけでは満足せず菅政権をも断崖絶壁に追い詰めています。

昨年9月の政権発足からの転落の原因は単純です。何度も述べてきたように経済と感染抑制の二兎を追い続けたからです。

二兎を追うと結果として現れる現象を後追いするしかありません。いわゆる後手の連鎖です。

二兎を追い、後手の連鎖を招き効果的な手を繰り出せないままに支持率は下がり政権崩壊の危機を迎えてます。

菅政権の基本的な対処方針に誤りがあったと言わざるを得ません。二兎を追ってはならないとは言いません。

コロナの手強さを考えた時に二兎を追った場合に生じる最悪のケースに備えるべきだったのです。

GoToの失敗の時が対処方針を転換するチャンスでした。コロナに備える戦略を先に構築するのです。

GoTo失敗の後、次に追わざるを得ない最大のターゲットは言うまでもなく東京オリパラでした。

場合によっては緊急事態宣言下でも断行せざるを得ないと判断したのであればやり方があったはずです。

落としどころは無観客開催と見切りをつけて無観客で開催するための条件を徹底して洗い出します。

ワクチン接種の推進と見極めたのであればワクチン確保と接種の戦略を早期に構築しオープンにすべきでした。

実態は感染の急拡大に対処が間に合わずに無観客に追い込まれてしまった印象が強いです。

デルタ株の猛威により窮地にある現在の菅政権に事態を打開する起死回生の妙手を繰り出すのは超難問です。

総裁としての期限が9月末に迫り打つべき手を打つ時間的余裕がもはやないからです。

時間的余裕が生まれるとしたらコロナの感染急拡大を大義名分として総裁選が先送りされた時だけです。

緊急事態宣言を来月12日までとしたことで9月中の解散の余地を残したとの見方が出てます。

感染大爆発と支持率低迷にあえぐ菅総理のもとで解散を望む自民党議員は数少なく解散は困難です。

小細工を弄するのではなく危機に際し正々堂々と国難に立ち向かう姿勢を示してこそ活路が開けます。

野党の求めに応じて臨時国会を開催することだと思います。憲政の常道に立ち戻ることでもあります。

ロックダウンのような強権発動に法的根拠を与えるのに慎重なのは野党側です。突けるはずです。

人流を抑制するためには法的根拠は必須です。論戦を通じ野党との妥協点を見いだすべきです。

菅総理はこれまでの野党との論戦で真正面から丁々発止はありませんでした。今がその時です。

任期中に一度ぐらい大向こうをうならせるような凄味を見せつけないと何のために総理に就いたかと言われます。

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