横浜ショック3

横浜市長選での県知事経験者の戦いの結果は好対照でした。元神奈川県知事の松沢成文さんは5位に沈みました。

2019年の参院選で松沢さんは23万票ほどを得てます。投票率はほぼ同じですから今度も同じぐらいは見込めました。

結果は16万票余りです。得票率は10.8%、一歩間違えば供託金没収でした。惨敗と言って良いです。

カジノを含むIR誘致の急先鋒である日本維新の会の現職参院議員からの突如の出馬は異様でした。

看板政策もかなぐり捨てました。横浜市民の世論の動向を踏まえて勝つためにひょう変したのです。

IRの代わりに唱えたのは英語パーク構想です。横浜の表玄関の開発計画にしてはさえません。

鮮烈な政策を打ち出せなかった松沢さんに浜っ子が過去の人という印象を抱いてしまった可能性があります。

一方世論調査上では無視に近い扱いを受けていた元長野県知事の田中康夫さんは善戦しました。

田中さんの出馬の報道を見て田中さんこそ過去の人ではないかという印象を抱いた人は多いと思います。

田中さんがなぜそうした位置取りから林市長とほぼ並ぶ19万5千票近くを得たのか興味津々です。

田中さんの最後の街頭演説をネットで拝見しました。組織も何もない選挙なのに人だかりでした。

ネットを活用した車座集会には千人を超える方が参加してました。無党派が動いていたのです。

神奈川新聞の出口調査によると無党派層の内の17.1%が田中さんに投票となってました。

山中さんの39.5%に次いで第2位でした。松沢さんは11.8%、小此木さんは11.1%、林市長は9.6%です。

無党派一本に絞ってネットを中心に働きかけた効果が選挙結果に表れたと分析できます。

無党派層が反応したのは政策が長野県知事時代の実績を踏まえ具体的で特色がありました。

IRに代わる政策として田中さんは内陸部に在日米軍基地跡地に防災と医療と福祉の統合施設の建設構想を掲げました。

行政機能が沿岸部に集中している脆弱な都市横浜を救済するための核心的構想だと思いました。

JR関内駅の至近距離にある旧横浜市役所の跡地を破格の安値で大手開発業者に貸す計画に疑惑を向けてました。

横浜版モリカケ問題ではないかというのです。田中さんの演説はなかなか聞かせます。

田中さんに欠けていたのは組織的支援です。無党派の個人に頼り切る選挙はあまりに確たる票が見えません。

それでも林市長と並んだのです。もし田中さんが野党の統一候補だったら80万票ほどを獲得し圧勝したと思いました。

立民は圧勝戦略で臨むべきだったと思います。当選後のことを視野に入れれば断トツの勝利でないと市政が回りません。