今上天皇ご一家の爪の垢を飲む

NHKニュースによると今上天皇ご一家は今月15日から皇居に住まいを移される予定とのことです。

6日から10日間は身の回りの品を引っ越す作業に当たるためこの間は栃木県の那須の御用邸に移る予定でした。

ところが天皇陛下はコロナ禍の現状を踏まえて県をまたがる移動を固辞されたとのことです。

陛下のコロナ禍の惨状を自らのもとして国民目線で自らも姿勢を厳しく律しようとする姿勢に敬意を表します。

私はこのニュースを聞いて教育勅語の一節を思い出しました。いちばん最後の部分です。

「朕、爾臣民と倶に拳拳服膺(けんけんふくよう;大切に胸に刻み守ること)して咸(みな)其徳を一にせんことを庶幾(こいねが)う。」

京都産業大学名誉教授の所功さんの現代語訳では「そこで私自身も、国民の皆さんと一緒に、これらの教えを一生大事に守って高い特性を保ち続けるため、ここで皆さんに『まずじぶんでやってみます』と明言することにより、その実践に努め、お手本を示したいと願っています。」となってます。

点の自ら実践して手本を示すとの強い決意が表現されてます。中国の成句にある「隗より始めよ」に近いです。

教育勅語で示された伝統は今も脈々と皇室の中で受け継がれていることを陛下は行動で示されたといえます。

陛下は、コロナ禍にあって国民に範を示すべき立場にあるひとりとして都内から出ないことを実践されました。

陛下のこの姿勢を政治家たちはどのように受け止めたのか興味深いです。無関心では困ります。

緊急事態宣言が発令されている中で幾度となく会食をめぐる不祥事が繰り返されています。

菅総理自らも自民党の二階幹事長らが開催した宴会の場に顔を出したこともありました。

緊急事態宣言下で実践すべきルールを明示されています。拳拳服膺して守るのが基本中の基本です。

指導的立場にある政治家や官僚たちの甘さというか世間を舐めている姿勢は度し難いです。

銀座の高級クラブで深夜飲食をした上に議員辞職を余儀なくされた公明党の国会議員がいました。

この議員は融資を受けようとした業者と融資元の銀行との間を仲介した容疑で地検によって事務所の捜索を受けてます。

ここまで行くと何おかいわんやです。自民党の過ちや行き過ぎを是正しようとの原点は雲散霧消してます。

陛下の自らを律する姿勢を軽く見てはなりません。指導的立場にある者はもとより国民全員が肝に銘ずるべきです。

国家国民の象徴たる天皇陛下があまりにだらしない昨今の風潮に控えめながら警告を発したと見るべきです。

菅総理をはじめ指導者たちはもちろん全ての国民は陛下の爪の垢を煎じて飲む必要があります。