自民党総裁選挙の変質

石破茂元幹事長が総裁選挙に出馬せず河野太郎さん支持を表明しました。改革派を二分しないが大義でした。

この動きを受けての河野さんはコメントは選挙ですから一票でも多くと持ち前の歯切れの良さは影を潜めました。

テレビ画面の2人の表情を見て政治ジャーナリストの田崎史郎さんの発言を思い出しました。

河野さんが石破さんを訪ねて協力要請したのは石破さんに降りる理屈を与え河野さんにとって不利だというものです。

石破さんの表情からは苦渋の選択というより名誉ある撤退ができたという安ど感が感じられました。

河野さんは石破さんへ挙党体制という名目で接近したことへの反響の大きさに戸惑っているかのようでした。

河野さんの政治的な立ち回り方の未熟さがもたらしたものだと思います。ボタンを掛け違えました。

河野さんは共闘を求めてしまったものの石破さんと適度の距離感をとらざるを得ません。

安倍前総理や麻生副総理らの猛反発があるからです。2人と徹底抗戦する覚悟無しに石破さんに協力要請したと思います。

内心ビビり出したのだと推測します。河野さんは石破さんとの間合いという困難な課題を背負ってしまいました。

石破さんの退場により政策論議は質的に大きく変わります。安倍前政権時代の闇の検証が困難になりました。

石破さんがいなくてはモリカケ桜は総裁選挙の争点になりません。全員口をつぐむからです。

米軍のアフガン撤退、北朝鮮の弾道・巡行ミサイルの発射成功。日本は新たな危機に直面してます。

安保・防衛問題に精通している石破さんの出番だと思いました。しかし石破さんはチャンスをつかもうとしませんでした。

石破さんは勝てなければ意味がないとして出馬断念に立ち至ったと思われます。勝敗だけが総裁選の意義でしょうか。

厳しい局面でもあえて出馬に踏み切り今日の日本が抱えている重大問題への対処の在り方を堂々と論じることは意義あります。

石破さんのそうした捨て身の姿勢は多くの自民党員の心を揺さぶったに違いないと思えてなりません。

河野太郎さんから挙党体制を呼びかけられて出馬を止めたということは人事でつられたのかとの疑念を呼びます。

河野さんが総理総裁になったとしても石破さんを幹事長などの重職に登用することはハードルが高いと見ます。

石破さんの出馬断念は総裁選挙の景色を一変させました。石破さんは自民党や国家より勝敗を優先したと思います。

安倍前総理から見て無難な岸田さん、選挙の顔としての河野さんの争いでは本当の選挙戦にはなりません。

石破さんの出馬断念の判断は石破さんの今後の政治活動にも暗い影を落とすと私は思います。