消えた東大法学部卒の総理総裁候補

戦後日本の礎を築いた吉田茂元総理、吉田さんのライバルの鳩山一郎元総理、ともに東京帝国大学法学部の卒業です。

1960年の日米安保改定の岸信介元総理、1972年の沖縄返還の佐藤栄作元総理の兄弟もそうでした。

同じ選挙区で激しく争い上州戦争と言われたった福田赳夫元総理と中曽根康弘元総理もです。

吉田さんの流れを汲み保守本流宏池会からの最後の総理である宮澤喜一さんも東京帝国大学法学部の卒業です。

1993年8月に宮澤さんが退陣してから東大法学部卒の系譜はぴたりと止まりました。以後出てません。

東大卒に広げても工学部卒の民主党の鳩山由紀夫元総理だけです。鳩山さんの祖父は鳩山一郎元総理です。

今回の総裁選挙でも東大法学部も東大卒もいません。日本の政治史のひとつの流れを象徴する現象です。

日本の屋台骨を支えてきた国家官僚から有力な政治家が輩出されにくくなったことの表れだと見ています。

小選挙区制度の影響があります。世襲政治家が増えました。世襲政治家は東大法学部卒の官僚である必要はありません。

新規に参入する政治家は選挙や資金に不安があります。東大法学部を出ても地盤が安定しなくてはのし上がれません。

また東大法学部出身の官僚政治家の弱点として地べたから這い上がるど根性に乏しいところがあります。

頭が良く政策通だけでは親分になれません。見栄えが良くてトークも上手な世襲政治家にかないません。

東大法学部卒の政治家冬の時代の到来です。しかし東大法学部卒の政治家は地頭の良さを持ってます。

東大法学部卒の政治家でふたり着目してます。自民党の林芳正元農水大臣と国民民主党の玉木雄一郎代表です。

林さんは政治家の家系の生まれの2世ですが地元下関の名門公立高校出身です。地元に根が生えてます。

東大法学部を卒業した後、商社勤務を経て、ハーバード大学公共政策大学院で学び国際性を持ってます。

今度の衆議院選挙で参議院から鞍替えして衆院議員を目指す困難な戦いに挑んでます。

乗り越えれば総理総裁候補に躍り出ます。山口3区は私が最も注目している選挙区のひとつです。

玉木さんは香川県の政治と無縁の農家に生まれ名門公立高校出身です。陸上選手で文武両道です。

大蔵省在職中にハーバード大学公共政策大学院で学び政界入り、最初の選挙で落選も経験し這い上がりました。

現在の日本の政治に求められているのは知性と地域に根差した国際性、それとど根性を持っている政治家です。

2人が困難を乗り越えて総理総裁になる日を待ちます。人気や見栄えの政治をガツンと変えて欲しいです。