安倍前総理との距離感で決まる岸田政権の命運

その昔、田中角栄元総理が総理退陣後も権勢を振るい闇将軍と呼ばれた時代がありました。

誰が総理になって政権を作ってもその内閣は”角影内閣””直角内閣”とかやゆされてしまいました。

岸田文雄新総裁はどうでしょうか。記者会見などを通じての岸田さんの立ち振る舞い私は好感を持ちました。

政治に透明感が戻りそうな予感がしました。岸田さんは今の姿勢を貫いて欲しいと願ってやみません。

岸田さんの前途に暗い影を落としかねないのは安倍前総理の影響力が強まっていることです。

今度の総裁選挙の結果を見ると安倍前総理の筋書き通りに事が運んだ感を強く持ちます。

自らと思想信条が近い高市早苗さんを事実上擁立し自らの派閥内に支持するよう有無を言わせず要請しました。

結果はミニブームを引き起こし河野太郎さんの勢いを削ぐ役割を果たしました。率直に驚きました。

国会議員票は114票で河野さんの86票を圧倒しました。高市さんの票の多くが決選投票では岸田さんに流れました。

最終的議員票は249票対131票と大差でした。安倍前総理がキングメーカーとなった瞬間です。

昨夕のNHKの情報番組で岩田明子解説委員が総裁選での衝撃の内幕を暴露していました。

岩田さんは安倍前総理の深く食い込んでいる政治記者としてその名を知られている方です。

岩田さんによると2度にわたり菅総理は安倍前総理に電話をかけて河野支持を強く要請したというのです。

拒否された訳です。この結果を受けて最終盤で岸田さんは安倍前総理の自宅を訪ねて会談しました。

これで岸田さんと高市さんの連合が成立しました。菅総理は完敗したことになります。

報道では官房長官、総務会長、国対委員長を安倍前総理の細田派に充て高市さんを政調会長と伝えられます。

政権基盤の弱い岸田さんにとっては総裁選の経緯もあり一定の配慮は止む得ないと思います。

しかし行き過ぎてしまっては岸田色を失わせ挙党体制の構築という言葉を虚しいものとしてしまいます。

党運営の要の幹事長は甘利明税制調査会長とされています。これは予想通りの人事です。

甘利新幹事長の大仕事は河井夫妻の選挙違反に関連して1億5千万の政治資金の出どころの解明です。

組閣人事では経済財政分野の閣僚が焦点です。岸田さんは新たな資本主義を提唱しました。

格差を是認してきたアベノミクスからの軌道修正と言えます。実力者を充てないと公約は実現できません。

岸田さんの命運は安倍前総理との距離感に掛かっているように思います。岸田さんの主体性の問題です。

安倍前総理一辺倒ならば岸田政権はその存在意義を失います。国民の支持を失い短期政権となる可能性に直結します。