誠実さとあいまいさが同居する岸田総理
8日に行われた岸田総理の所信表明演説を聞いて誠実に国民に語りかけようとの姿勢を感じました。
菅政権が国民の信頼を失った大きな原因が国民との対話の不足にあったことを意識したのだと思います。
総理を始め全閣僚がさまざまな方と車座対話積み重ねその上で国民のニーズに合った行政を進める考えを示しました。
オンラインも活用できる時代となりましたので国民との対話の機会を増やすことは大歓迎です。
岸田総理のこの姿勢は最後の言葉に集約されました。アフリカのことわざだということです。
「早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め。」ということわざです。
岸田総理が目指したものは日本国民全体の共感を得てワンチームとなることを理想の姿としたのだと思います。
岸田総理の人柄が想像できる表現だと思いました。リアリストというよりロマンチストだと思いました。
岸田総理のこうした思いを実現するのは容易ではありません。自民党内の一致結束がまず必要です。
岸田総理の演説はエッジが効いた明確で具体的な表現はありませんでした。意図的に避けたのだと思います。
看板経済政策の「新しい資本主義」の構築は、アベノミクスからの転換の要素をはらんでます。
明確に具体的に言及し出すとアベノミクスによって格差がもたらされたことを認めなければなりません。
勤労者層の賃金が上がっていないから賃金を挙げる企業を支援して所得格差をなくすのですから当然です。
岸田総理はキングメーカー安倍前総理に配慮して深く立ち入ることを避けあいまいなスタンスを取りました。
大胆な金融政策、機動的な財政運営、成長戦略の推進に努めますと述べてアベノミクスの継承にも言及してます。
新しい資本主義のアベノミクスという相矛盾する経済政策を同時進行で行うというのです。
菅総理は新型コロナ対策と経済の回復という相矛盾する二兎を追いかけて国民の信頼を失いました。
岸田総理も同じ轍を踏む可能性は否定できません。政策が中途半端に終わり効果が出ない恐れがあります。
岸田総理の中間層の拡大戦略には財源が必要です。しかし明確な財源確保については触れてません。
所得再配分の機能強化で財源を確保しようとすれば富裕層の課税を強化して得るしかありません。
衆議院選挙前に増税を連想させるのは危険ということで避けたのかもしれません。岸田総理のアキレスけんです。
岸田総理の演説は誠実さとあいまいさが同居してます。国民がどちらの方を感じ取るかは重要です。
誠実さにより好感を持てば選挙はしのげますしあいまいさに目が行けば選挙は厳しくなります。