財源論抜きの消費税減税論議を憂う
昨日の神奈川新聞に消費税をめぐる与野党のスタンスの違いを比較分析する記事が掲載されてました。
共同通信の記事だと思いますが要領よくまとめられていて参考になりました。全政党とも財源論が軽視されています。
消費税についていえば自民党を除いて軽減や廃止を訴えています。しかしその補てんについてはどこもあいまいです。
自民党は消費全10パーセントを変更しないとしますが保育や介護に関わる人材の給与を上げる財源は明確ではありません。
国民が歓迎する政策を打ち出す一方で負の側面を覆い隠し将来にそのつけが回ることは望ましくありません。
消費税の減税廃止と同時にその補てんをどうするのかは断じて明確にすべきです。逃げるのは無責任です。
立民党は政権を担うと叫ぶのであればこの点だけはしっかりと方針を明示する責務があります。
当座は国債でしのぐというのはでまかせです。国債をどう償還するかの具体の戦略とセットでなければなりません。
国民民主は子ども国債の発行で教育など子育てに関する予算を倍増すると主張してます。
教育予算を倍増するのは大いに歓迎されます。国債で財源を調達するのは止むむ得ない措置だと思います。
しかしその国債をどういったプロセスで償却していくのかは同時に示さないとまやかしになります。
しかも国民民主は消費税の5%軽減を期限限定で行うことも主張してます。補てん戦略の明示は不可欠です。
私は積極財政は賛同しますが、消費税の軽減や廃止は反対です。コロナ禍で借金が積み上がった現状を直視すべきです。
借金の返済と同時に国民に安定的なサービス提供することを考えると消費税は外せません。
税率を上げるのも下げるのも準備期間がいります。デジタル化が進んでいない日本では相当期間必要です。
特に危険なのはいったん税率を下げたら上げるのは抵抗があって困難だということです。
明日にでも軽減したり廃止したりでき期限が過ぎれば元に戻せるとの言説は国民を惑わします。
消費税率の軽減廃止は地方自治体の財源の深刻な影響を与えます。地方の取り分である地方消費税に直結するからです。
消費税10パーセントのうち2.2パーセントの地方消費税は地方にとってなくてはならない財源です。
これを無くすというのであればその代替財源を地方自治体に示すことは絶対に必要です。
国民に耳障りの良い政策を訴えていて実現しようとすると様々なそごが出てきて混乱することはばかばかしいです。
政策を訴える以上、マイナス面のカバーをどうするかも同時に国民に提示して議論の土俵に乗せてこそ本当の政党です。