地方議会への法の監視

31日の衆議院選挙と同時に行われるのが最高裁判所の裁判官の国民審査です。今回は11人が対象です。

日本は法治国家です。中国のように中国共産党が支配する人治国家ではありません。

最高裁判所の裁判官15人は法治国家日本を代表する位置にいる方々です。衆院選と同様に関心を持たなければいけません。

衆院選のように個人の名前や政党名を記入するのではなく〇かばつをつける方式です。

無記入の場合は〇とされますので罷免されることはまずあり得ません。罷免を阻止する便法です。

11人の裁判官の信条や関わった裁判についてのマスコミのアンケートが公表されています。評価をする際の判断材料となります。

おひとり注目すべき記述をされていた裁判官がいます。宇賀克也さんです。東大助教授から最高裁の裁判官になりました。

自らの個性、信念が最も体現したと感じる裁判または就任前の仕事について昨年11月25日の大法廷判決を挙げていました。

地方議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否を司法審査の対象外とすることには、かねて疑問を抱いていたとしてます。

宮城県岩沼市で起きた議員に対する出席停止の処罰をめぐる裁判のことで60年ぶりに判例が変更されました。

地方議会内での懲罰など議会内の決定はこれまで議会の自主性に委ね裁判にはなじまないとされてきました。

最高裁の判例変更によって地方議会の議員に対する出席停止の適否は司法審査の対象となるとされたのです。

住民の代表として議会での活動を行う責務がある地方議員の役割を重んじた画期的な判例変更だと思います。

この議員は23日間という長期の出席停止処分を受けて処分の取り消しとこの間の議員報酬の支払いを求め勝訴しました。

湯河原町の土屋由希子町議はこの最高裁の判例変更によって裁判に訴えることができたのです。

土屋さんの場合は1日間の出席停止ですが判例変更の趣旨からすれば期間の長い短いは関係ありません。

議員としての活動を制限されたか否かそれ自体が問われます。短いから訴えることはできないというものではありません。

宇賀裁判官の強い思い入れを持たれた判例変更は宇賀さんの思いに沿った形で大きな反響を呼んでます。

議会内のことは議会に任されているとして議会の体制派にとって都合の良い処分を出すことに制限が加わりました。

議会としてその処分が法的に観て正当性を担保できるものか否かを判断することになったのです。

法の支配から逸脱しても許されるというあいまいさがまん延していた日本の地方議会に一本筋が通った感がします。

多数派に逆らっているなどは理由になりません。まっとうな議会運営の第一歩にすべきです。