衆院選NHK議席予測大外れについて
NHKの衆院選担当デスクがNHK政治マガジンというネット上のコラムで釈明してます。
「衆院選NHKの議席予測はなぜ外れたのか」というタイトルでした。外れたレベルではなく大外れでした。
ブログでも書きましたが開票開始と同時の議席予測は「自民単独過半数ギリギリ、立民議席増」でした。
結果は自民261議席で単独で絶対安定多数確保、立民は96議席で現有議席の109を大きく下回りました。
選挙デスクの釈明によれば与野党で接戦を演じている選挙区の多くで自民が競り勝ち立民が負けたということです。
現役の政治記者時代に選挙報道のもととなる分析の責任者を担当したことがあります。
NHKの選挙報道は災害報道と並んでNHKの看板ですので間違いは許されません。強い重圧がかかります。
1989年7月の土井たか子委員長の社会党が激増した参議院選挙と翌年2月の衆議院選挙を担当しました。
参議院選挙は選挙区が少なく分析しやすく予測しやすいのですが衆議院選挙はそうはいきませんでした。
現在は選挙制度が変わり小選挙区と比例代表が混在しているので更にやりにくいと推測します。
選挙デスクによれば期日前投票を済ました人にも出口調査を行い接戦区で野党側に有利な結果を得ていたということです。
見誤りがあると思います。期日前投票は組織票を持っているところが働きかけている傾向が強いと思います。
個人後援会や公明党や共産党が投票先を積極的に明かすかどうか微妙です。結果を額面通り受け止められません。
期日前投票の割合は高まっており今回は19.49%、2058万人の方が投票しています。
ここまで増えると予測に大きな影響を与えると見なければならないのに分析を怠ってきたと思います。
もうひとつの基本である選挙情勢取材がおろそかになっているのではないか懸念があります。
衆院選に限らずNHKの政治や選挙報道で特ダネにお目にかかったことがありません。
8月の横浜市長選挙で小此木八郎大臣の出馬をめぐる報道は完全に後手を踏んでいました。
記者の取材力の低下が顕著なのだと思います。先輩記者として由々しき問題だと感じます。
記者の基本はいわゆるサツ回りにあります。事件取材でネタを獲れないような記者は使い物になりません。
来る日も来る日も夜討ち朝駆けで泥くさくて放り出したくなるような仕事に耐えてネタはやってきます。
記者の足で稼いだ情報と出口調査などのデータが相まって初めて正確な報道が可能となります。
NHK政治部は今回の大失敗を教訓として選挙のNHKの名に恥じない報道ができるよう期待して止みません。