保守本流、岸田-林体制の正念場
先週の特別国会で岸田総理が改めて首班指名されました。空席の外務大臣には林芳正元文科大臣が就きました。
名門宏池会から重鎮が重要閣僚の位置に座り岸田総理の強力な援軍となると思います。
菅前総理の退陣から始まった一連の政局では安倍前総理の存在感がクローズアップされました。
菅前総理の解散を封じ込め退陣への地ならしをし高市早苗さんを総裁選に擁立し善戦を演じさせました。
決選投票で高市票を岸田さんに票に上乗せすることで岸田総理誕生の立役者ともなりました。
細田衆議院議長の誕生とともに派閥に戻り安倍派の領袖となりました。政局への影響力をさらに強めました。
何から何まで安倍前総理に有利にことが運んでいるように見えます。しかし不安要因もあります。
先の衆院選山口4区で安倍前総理は得票を減らしています。10万5千が8万ですので大きな減少です。
自民党総裁選挙でも山口県は安倍さんの推す高市さんではなく岸田さんがトップの得票でした。
力に陰りが忍び寄っているように見えます。安倍さんが存在感をアピールしようと躍起になっている背景だと見てます。
こうした状況下で岸田―林体制が発足しました。岸田総理は安倍さんに振り回されず独自性を発揮できるか問われます。
日本を取り巻く環境は厳しいのひとことです。将来の総理総裁を目指すと公言している林外務大臣のさばきに注目です。
まず岸田総理訪米です。日米同盟基軸のお題目は聞き飽きました。実質的な安全が求められてます。
支持率低下で苦境に立つバイデン政権との共同歩調一本やりはリスクをはらみます。
再びトランプ旋風が吹き荒れないとも限りません。日本は今度こそ吹き飛ばされる恐れがあります。
日本の立場が揺らげば中国、ロシア、北朝鮮は足元を見てあの手この手で揺さぶりをかけてきます。
自由で開かれたインド太平洋のスローガンだけでは真に日本を守れるか誰しも心配になります。
岸田―林体制で日本の明確な外交指針を打ち出し国民の信頼を勝ち取れるか正念場となりました。
コロナが一段落し3回目のワクチン接種も日程に上る中で外交安全保障は争点となります。
これは憲法改正問題と密接不可分です。9条の記述のしかたがいよいよ俎上に上ることになります。
保守本流の岸田―林ラインが選択すべき針路は、これまで培ってきた日本の基本を踏まえることです。
その上で厳しい国際環境に対応するには憲法改正も含めてどう対応すればよいのか熟慮と決断が求められます。
短兵急な行動をとることなく偏った道に迷い込まず、保守本流らしい堂々としたかじ取りを期待します。