人生ノート44~禹王(うおう)のふるさと2~

5月に中国の北京を訪れて一番驚いたのはドイツ車が多いことでした。若い女性が小型のベンツ車をさっそうと乗り回している姿を至るところで見ました。

この10年で中国は大きく変わったと実感しました。マンションバブルが起こっていて日本円で1億円を超えるマンションも当たり前になっていると聞きました。

1981年新婚旅行で北京に来た時には郊外では牛車が走っていました。万里の長城にはまともなトイレすらありませんでした。全くの様変わりです。

ドイツ車が際立ってきたのには理由があります。日本車のファンもたくさんいます。日中関係の悪化が影を落としています。購入を控えています。

石原慎太郎さんの尖閣発言が日本車の伸びを止めました。石原さんは結果的にドイツ車の進出をあと押していることになります。愚かなことです。

しかし北京の繁栄は砂上の楼閣といっても良い側面があります。水です。ホテルでは1リットルの水が1200円程度でした。異常な値段です。

水が貴重なのです。商売にして破格の高値をつけている可能性もあります。いずれにせよ命の水が不足していることは事実です。

揚子江から北京へ水を運ぶ導水管や水路の建設が進んでいます。水の流れを無理やり変えるのにも程度があります。中国の安全保障にとってアキレス腱となります。

導水管を狙い撃ちすればアウトです。最先端のミサイル一発あればピンポイントでやられてしまいます。中国にとって水問題は極めて深刻だと思いました。

今回の中国訪問は、中国の治水の神様、禹王(うおう)のルーツを求める旅です。禹王は今日の中国の水事情を天から見ていて気が気でないことと思います。

水はなくても数日は生きていけますが空気はそうはいきません。大気汚染もあります。今回の訪中の時はスモッグに覆われることはありませんでした。

報道もひどい時の状況ばかりを流しますので年がら年中スモッグみたいな印象が刷り込まれてしまいます。そこまでひどくはありませんでした。

でも有害物質を含んだ大気の汚染がひどいのは事実です。1970年代の東京や川崎の工業地帯以上の状態が巨大都市北京を襲っていると言っていいと思います。

生存の不可欠の条件、空気と水がおかしい訳です。これでは存続が難しいです。私は北京が中国の首都である期間は終焉に近づいていると思いました。