高校生と歴史クラブのコラボレーション
全国各地に歴史愛好家による郷土史クラブがあります。悩みの種は会員の高齢化と言われます。
私が所属する足柄の歴史再発見クラブは2006年2月に発足した歴史の浅い団体です。
2007年が富士山の宝永噴火から300年の節目に当たることから郷土の大災害に光を当て直そうとしました。
開成町長だった私は歴史に詳しい民間企業の郷土史家に声をかけて新たな団体を設立してもらいました。
『富士山と酒匂川』『新編富士山と酒匂川』『みんなで学ぶ富士山と酒匂川』の3冊の冊子を刊行しました。
初代会長が大脇良夫さん、2代目が佐久間俊治さん、3代目が小林秀樹さん、現在の4代目が関口康弘さんです。
3代目までは民間企業出身者。関口さんは高校の日本史の教諭。関口さんになって歴史のプロの登場です。
わがクラブのささやかな自慢の種は代替わりが順調に推移し新陳代謝ができているところです。
4代目の関口さんは今年5月の会長に就任したばかり。キャリアを活かし高校生との連携を始めました。
18日に開かれたクラブの例会で県立足柄高校の「歴史研究同好会」のメンバーを招きました。
足柄と小田原地域の6分野をテーマとする生徒たちの研究発表を聞き意見交換ができました。
指導するのは日本史の教諭の桐生海正さんです。私に「海正」という名前とともに印象が残っている若者です。
開成町では小田原や足柄地域を主題とする大学生の卒業論文に学ぶ会というユニークな取り組みが行われてます。
民間企業のOBら有志が実行員会を作り現在も継続しています。桐生さんは2012年の発表者でした。
桐生さんは当時東京学芸大学の4年生で富士山の宝永噴火からの復興に関連する発表を行いました。
その桐生さんが高校教諭となり歴史クラブの生徒を率いて足柄の歴史再発見クラブにやってきたのは感慨深いです。
どの発表も関心を引きました。印象に残ったのは江戸末期の南足柄地域のコレラ騒動でした。
調査の対象とした現在の神奈川県南足柄地域で千人以上の死者が出たことは知りませんでした。
現在の南足柄地域の人口は4万人余りです。当時は1万人にも満たない人口だったと推定されます。
10人に一人強が死亡となると大事件です。新型コロナをはるかに上回るパンデミックでした。
山北町を走る御殿場線が東海道本線だったころ人気を博した駅弁鮎ずしを追いかけた発表もありました。
山北町で細々と続いてます。このままでは継続不能です。発表をきっかけに若者に参入して欲しいです。
歴史クラブには若い力が必要です。桐生さんたちとの連携を今後深めて行きたいです。