演劇「二宮金次郎物語」
19日日本の報徳運動の中心地静岡県掛川市で演劇「二宮金次郎物語」が上演されました。
大日本報徳社からの案内が届きチラシを見ると知人の方が上演後のトークショーに出られるというので出かけました。
演劇の方はわずか3週間で稽古を仕上げ急きょの上演となったとのことでしたがなかなかの出来栄えでした。
掛川市生涯学習センターのホールの一番前の席に座ったため役者の息遣いが聞こえてきて迫力がありました。
出演者は全部で6人。二宮金次郎役を除いてひとり何役も演じたため20人ぐらい出演者がいるかと思うほどでした。
二宮金次郎の最晩年の弟子で掛川市出身の岡田良一郎が演劇の進行をナビゲートするという意気な演出でした。
岡田は二宮金次郎が日光の幕府領で最後の農村再興に全精力を注いでいる時に弟子入りしました。
当時は16歳で劇では「遠州(静岡県掛川・浜松地方)の小僧」と呼ばれ登場していました。
岡田は成長したのち日本の報徳運動のメッカとなる大日本報徳社を立ち上げる中心人物となりました。
この演出のおかげで掛川と二宮金次郎との関係もわかります。遠州の小僧の解説で金次郎の報徳思想も理解が進みます。
至誠、勤労、分度、推譲、一円融合、積小為大。こういった報徳思想の考え方は理解しずらいです。
遠州の小僧がひとつひとつの考え方をかみ砕いて劇の中で説明するのです。理解が進みます。
金次郎の農村再興策はち密な計算が出てきます。コメの分量の単位は現在とは異なります。
これも遠州の小僧が解説で補ってました。分量のイメージが湧き優れたやり方だと思いました。
演劇全体を通じて経済的に自立することにこだわった金次郎の思想が良く反映していました。
コツコツと頑張ることに光が当たりがちですが合理的な計画を立てて事業に当たっていた史実に基づいてました。
上演したのは「劇団静岡県史」というユニークな名前の演劇集団でした。(https://shizubaku.hamazo.tv/)。
静岡の歴史に題材を求め地域に根差した演劇活動を行っています。地域文化を盛んにする強力な道具だと思いました。
上演後、大日本報徳社の副社長の石野茂子さんが登壇し劇団員とのトークショーがありました。
石野さんから突如指名があり私が演劇の感想を述べるはめになりました。ひとこと感動したと述べました。
短い期間の稽古にもかかわらず二宮金次郎の実践の生涯を巧みに表現していたと思うと述べました。
掛川は元市長の榛村純一さんが報徳思想を提唱し、いまなおその遺産が市民の間に受け継がれていると感じました。