閣僚給与返上と責任のとりかた

政治学の古典マックス・ウェーバーの『職業としての政治』に政治家と責任について代表的論考が書かれてます。

ふたつにわかれます。心情倫理的態度と責任倫理的態度です。前者は過程に重きを置き後者は結果責任を問います。

わかりやすい言えば一生懸命頑張ったかどうかを重視してどういう結果になっても容認するのが前者です。

後者は一生懸命やっても結果が出なければ責任を負うという態度です。全ては結果だという考え方です。

政治家は地位を守りたいのが本音です。責任倫理的態度は相当のやせ我慢が不可欠です。

マックス・ウェーバーは政治家に対しやせ我慢を求めました。その覚悟があるかどうかを政治家の資質としたのです。

国土交通省で20年来国会の政策判断の基本となる統計調査で不正が行われていることが発覚しました。

先週末の21日国土交通省で処分が発表されました。事務方の責任者や当時の担当幹部ら10人が処分を受けました。

ひときわ重いのは斎藤鉄夫国土交通大臣でした。4か月分の給与と夏のボーナスを返上するというのです。

斎藤大臣は昨年10月の岸田内閣の発足とともに大臣に就任したのですから統計の不正との直接の関りはありません。

斎藤大臣は公明党です。2013年に自公連立政権が復活してからは公明党の幹部が歴代大臣に就いています。

歴代の公明党大臣の責任を最終的に取ったと言えば取ったということになります。身の処し方としては責任倫理的です。

斎藤大臣が誠実な政治家であることは衆目が一致してます。真摯に不祥事に向き合ったことは間違いないところです。

ただし疑問があります。どの程度の金額を国庫に返上したのか不明朗です。金額を明らかにして欲しかったです。

閣僚給与は国会議員歳費との兼ね合いで支給されます。2重取りではなく国会議員の歳費以上の分を内閣は支給しているはずです。

削減されても国会議員の歳費はもらえるはずです。こちらの方も返上して給与ゼロにしたはずはありません。

実際の削減額は小さいと思います。責任を取ったかたちにするため形式的に給与返上したのではないかと見えてしまいます。

神奈川県真鶴町の松本町長は、有権者名簿の不正持ち出しで辞職しその後の町長選挙で当選を果たしました。

一連の不正の責任を取るとして1年間は給与を一切受け取らないとして条例を議会に提出しました。

この条例は議会側に否決されましたが給与は受け取らないと明言したので極めて明確です。

国会議員の方は今ひとつ中身がはっきりしません。責任を取ったように見えて腹が痛まないなら責任の取り方は不十分です。