新しい資本主義論争と岸田政権の行方

岸田総理の公約のど真ん中に新しい資本主義の構築があります。この主張をめぐる論争が盛んです。

岸田総理としては論争の種になるだけでもプラスに左右していると考えていると思います。

争論になるたびに自らの公約が取り上げられるのですから政治的に見れば参院選を前に悪いことはありません。

今週25日衆議院の予算委員会で国民民主党の前原誠司さんが新しい資本主義を追及してました。

絵に描いた餅を言っているだけで逃げですよ、具体的なものもなくやるやる詐欺ですよとまで述べてました。

笑ってしまうのは政治は結果責任と断言してました。論戦を聞いていて不愉快になりました。

前原さんは民主党政権の国土交通大臣時代華麗なスローガンを掲げました。「コンクリートから人へ」です。

八ッ場ダムが象徴でした。建設中止を打ち出しましたがその後民主党政権の崩壊で建設再開となりました。

前原さんこそ口さきの政治家でした。「口だけ番長」と新聞に書かれたこともありました。

前原さんの質問を素直な気持ちでは聞けませんでした。過去への衒いは全くありません。

民主党政権時代はどうだったと嫌味のひとつでも言いたくなります。丁寧に答弁する岸田総理に驚きました。

新自由主義は経済活力を挙げたメリットはあるものの格差を助長したデメリットがあります。

この経済のありようを修正して成長の果実を分配し新しい経済の循環を創り出そうというのです。

言葉は美しいですが実際にどう実現するのかが輪郭すら見えないと言われればその通りです。

給料を上げること、岸田政権はこの一点に集中しているように見えます。国民民主党の衆院選の公約と一緒です。

経緯はともあれ国民は実現すれば歓迎です。今年の春闘は新しい資本主義の成否を握る第一歩だと思います。

賃上げに一定の成果を出せば岸田政権への支持は高まり参議院選挙勝利へと続くと思います。

例年の労使間における春闘ではなく岸田政権の差木曳がどうなるかを図る試金石の春闘だと思います。

参院選で勝利を得たならば岸田政権は2024年9月までの任期中の政権維持を約束されたと同じです。

政権基盤が安定すれば懸案となっている金融資産課税や所得税制で格差是正の具体策を打ち出せます。

デジタル庁の活動の本格化に伴いデジタル田園都市国家構想も徐々に具体性を帯びてくると思います。

新しい資本主義は漸進的に進むものだと思います。岸田政権はその端緒を示す点においては光が見え始めました。

前原さんの国民民主党は安定化しつつある岸田政権との距離感をどうするか立ち位置が問われることになります。