ウクライナ危機から台湾有事を読む

アメリカ政府がロシア軍のウクライナへの軍事的侵攻の切迫性について警告を発しています。

アメリカ政府が伝える情報が正しいとすると侵攻は目の前に迫っていると思われます。

1979年12月を思い出します。当時のソビエト軍がアフガニスタンに突如侵攻したのです。

アフガニスタンの親ソ政権を維持するためでした。当然アメリカら西側諸国の猛反発を呼び起こしました。

1980年のモスクワオリンピックには多くの西側諸国がボイコットしました。日本も同調しました。

40年以上経過した現在、ロシアと親密な関係を持つ中国で冬季オリンピック開催目前です。

オリンピック開催に大きな影響を与える行動は控えるとは思いますが終了後はわかりません。

元外務省分析官で作家の佐藤優さんの話を聞いたことがあります。ロシアという国が持つ本性についてです。

直接敵対する国同士が接することに過度な警戒感を持つというのです。中間的な立場の地域を欲するというのです。

ウクライナはロシアにとってそうした地域そのものです。この国が西側に属することは死活問題です。

西側陣営に属するかどうかの指標がNATO=北大西洋条約機構への加盟ということになります。

中国共産党が台湾を中国の不可分の領土の一部と頑なに見なす強硬姿勢とどこか似通ってます。

中国共産党は台湾を親中派の政権に転換させて中国にとって都合の良い体制にしようと目論んでます。

ウクライナ政権を転覆しようと画策するロシアの態度と一緒です。中ロ両国間に共通性があります。

ウクライナ情勢と近未来の台湾情勢は共通性を持っていると捉える方が正しいとの見方は成立します。

ウクライナの方が先んじて緊張状態が高まっているだけで近未来の台湾情勢を暗示しているとの見方です。

強権国家のやり方がどのような推移を辿るのかウクライナ情勢を目を凝らして注視する必要があるということです。

台湾の対岸に軍事力を終結させて台湾を威嚇し侵攻の機会が訪れれば断行する台湾海峡危機のシミレーションとなります。

大きく異なるのは中国と台湾は海で隔てられているということです。中国人民解放軍にとって大きな軍事的制約です。

第2次世界大戦でナチスのイギリス侵攻を食い止めたのはドーバー海峡です。自然の防波堤の役割を果たしました。

もうひとつは人為的な防波堤です。時の宰相チャーチルによって鼓舞された国民の不屈の闘志でした。

ウクライナ情勢を極東と離れたロシアとNATOとの対立と見るのではなく台湾海峡危機を念頭に置くべきです。

強権国家の振る舞いは予測不能です。先入観を持たず現実を注視することが不可欠です。