ハマのドン”最後の戦い”

5日テレビ朝日で昨年8月の横浜市長選挙で争点となったカジノ問題をめぐるドキュメンタリーを放送してました。

主役はハマのドンこと藤木幸夫さんでした。藤木さんは横浜の港湾業界を牛耳る重鎮です。

藤木さんがカジノ誘致を推し進める菅総理大臣に立ちはだかり菅さんの野望を阻止した物語となってました。

藤木さんはひときわかっこよく描かれていました。まるで横浜のために仁王立ちする弁慶のようでした。

91歳の藤木さんの的を得た舌鋒の鋭さには驚きました。ピンポイントに的を射抜きます。

ドスが効いてますので面と向かった人はたじろいてしまいます。人生体験と豊富な人脈がパワーの源泉です。

横浜大空襲も経験し戦後の焼け跡闇市時代もくぐり抜け港湾業界を守り抜きました。

歴代の自民党の中枢に深く食い込んでます。かつての政界の暴れん坊の亀井静香さんが証言してました。

この人生行路があれば怖いものなしでしょう。その天下御免の御仁がカジノに徹底抗戦しました。

テレビの中で「俺と菅との戦いだ」と述べてました。総理大臣に対しこう言い切れるところがすごみです。

結果はご承知の通り菅総理の大敗北に終わりました。立候補した盟友の小此木八郎さんは政界引退しました。

番組はこの勝利をもたらしたのはカジノ反対の世論を盛り上げ地道な運動を続けた市民に光を当ててました。

藤木さんも市民の頑張りがったからこそ擁立した山中竹春市長が誕生したと語ってました。

番組の中での藤木さんは自らの厳しい体験を背景に市民運動を支えて権力に抗戦したヒーローでした。

美し過ぎると感じました。事実というより番組の制作者がこうあったら格好が良いという風に仕立てたと思いました。

藤木さんが本当に最初からカジノ反対であったのかどうかの切り込みが不足しています。

巷間伝えられているのは最初は賛成の態度であったものの何らかの原因で反対に転じたというものです。

藤木さんは最後の最後にはカジノ容認に転じるはずだという風な観測が流れた根拠でした。

番組ではこうした不都合な噂には一切触れていませんでした。真相が知りたかったです。

藤木さんがカジノ反対に前のめりになったのは動物的カンで選挙に勝てると踏んだ要素は否定できないと思います。

世論の動向を読み切って勝ち馬にのれるはずだと踏んだのは海千山千の藤木さんにとっては当然の判断だと思います。

選挙の勝利を決定づけたのは自民党の分裂でした。菅総理の大失策でした。これで勝負ありでした。

藤木さんの正義の月光仮面的側面だけでなく政治のリアリズムも同時に描ければもっと深みのある番組となりました。